事態は予想出来ぬ道へ向かう

「それにだ・・・この場で絶えず議論するより、時間を置いてじっくり考えを練った方がいいと思って言ったんだ。今の状況では状況を打開しなければという焦りで考えが曇りがちになりそうだとな」
「・・・だからこちらに場を外すようにと言われたんですね・・・?」
「あぁ・・・それにこちらも一度落ち着きたいというのが本音なんだ。勿論カイツールに連絡を送るのは怠りはしないが、こちらもこちらでどうするかというものを考えたいのでな・・・」
「そういうことですか・・・」
だがピオニーがそちらだけでなく自分達にも時間が欲しいと少なからず表情に影を落としたことに、イオンもその心の内を感じ取り納得する。
「・・・分かりました。私はそれで構いませんが、皆さんはどうですか?」
「・・・俺もそれで構わない」
「こっちも大丈夫」
「そうですか・・・では陛下、私達はここで失礼します」
「待て・・・一々ダイクロフトにまで行き来するのも面倒だろう。今日は客室を用意するからそちらで休むといい。すぐに準備をさせる」
「ありがとうございます、陛下・・・」
そして一同を見渡し確認を取るイオンだが、ルークとクレスが頷いて他に反対の意見がないことに退出を切り出す。しかしピオニーが部屋を用意すると心遣いを見せたことに、イオンは頭を下げる。









・・・そして数十分後、ジェイドを除いたルーク達は3つの客室をあてがわれて各々分かれて入室する事となった。



「・・・とりあえず皆様に部屋はご用意しましたが、ダイクロフトに所属される皆様もまた何かそちらに戻られる用事がおありかもしれません。ですので宮殿から外出する分には構わないが出来るなら明日の昼までにはこちらに戻ってきて欲しいとの事です。後々の話し合いの事もあるので・・・」
「わかりました、ありがとうございます」
「では私はこれで失礼します」
そしてルークが入室した部屋の入口でフリングスが注意を述べ上げ、クレスが礼を言うとすぐに退出していく。
「・・・さて、お言葉に甘えて一回ダイクロフトに戻るか?・・・流石にアクゼリュスがそんなことになるなんて思っちゃいなかったからな」
「そうだね・・・じゃあ僕達は他の部屋の皆に声をかけてから一度ダイクロフトに戻るから、ゆっくりしていてくれ」
「・・・あぁ、わかった(・・・本音を言うなら皆に付いていきたい所じゃあるけど、ここにガイを置いて行くのは流石にな・・・)」
そこですぐにユーリがダイクロフトに戻ることを真剣に切り出しクレスが頷きルークに残るよう言ったことに、内心で一緒に行きたいという気持ちを抑える・・・部屋の端に備わったベッドに重く腰掛けるガイの姿があったために。
「じゃあ話が終わったらすぐに戻るから」
「あぁ」
しかしそんな内心をおくびにも出さずルークは声をかけてから部屋を出ていくクレス達を見送る。
「・・・ルーク・・・」
「・・・なんだ、ガイ?」
それでクレス達が全員部屋を出たのを見計らってかガイがゆっくり立ち上がって近付き声をかけてきたことに、ルークは視線を向け何かと問う。
「・・・お前の言うとおりだったのかもな、ルーク・・・謡将は俺達を殺すことに躊躇しなかった・・・本当に俺達を殺すためだったのかはともかくとしても、少なくともアクゼリュスを謡将が落としたと言うんなら俺達は立場的にキムラスカじゃもう死んだ物になってるだろう・・・」
「・・・正直、師匠がそんなことしたなんて信じたくはねぇけどな・・・(アクゼリュスが予想しない形で落ちたって事で、相当ガイはショックだったんだろうな・・・ガイからしたら自分がもしアクゼリュス周辺にいたならって事を考えずに師匠が事に及んだかもしれないって認識だろうし・・・)」
ガイはそこでヴァンに対しての様々入り乱れる複雑な感情を声と共に口にし、ルークは複雑そうにしながらも内心で予測をつける・・・ガイにとってヴァンが裏切ったとも取れるに等しい行動だからこそ今こうなっていると。








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