事態は予想出来ぬ道へ向かう

「ホドが消滅した時だと・・・だとしたらどこかが消滅したっていうのか・・・!?」
「だと思いますが・・・この時点でホドのように消滅したというのなら、まさかとは思うのですが・・・アクゼリュスが消滅したのではないかと思われます」
「!?どうしてそう思うのですか、ジェイド!?」
ピオニーはまさかと言ったようにジェイドに問い掛け、予測を返していくがナタリアが何故と焦りに満ちた声を向ける。
「私はセフィロトの位置については詳しくは知りませんが、現状で今一番危険な場所として挙げられるのは間違いなくアクゼリュスのセフィロトと言えるでしょう。キムラスカにモースの目当てはアクゼリュスの消滅をきっかけとしての戦争、ですからね」
「で、ですがアッシュにルークはここにいますわ!そのようなことをしてしまえば、預言通りにはなりません!」
「・・・謡将がルークを造った事を考えると、是が非でも謡将がアッシュかルークのどちらかを使ってでも預言通りにいかせようとするというのは考えにくいんですよ。そしてそんな謡将がキムラスカやモースに我らをみすみす見逃したと報告するとは思えません。ましてや数日経っても私達が見つからないとなれば謡将も焦ることでしょう・・・となれば謡将が取る手段はそう多くはありません。その手段としてもっとも手っ取り早く、キムラスカやモースに対して誤魔化しがきく手段は自分の手でアクゼリュスを消滅させてしまうことです」
「!・・・では、それが正しければアクゼリュスは本当に消滅してしまったと・・・!?」
「十中八九そうだと思います。少なくともどこかのセフィロトが落ちたのは確実だと思いますが、今の時点ではアクゼリュスが落ちたと見た方が自然でしょうね」
「「「「・・・っ!」」」」
ジェイドはその激しさに臆することなくそう思う理由についてを話していくが、いかにアクゼリュスが危険な状態にあるのか・・・それらを前提として仮定を話された事にナタリアを始めとして、場にいる人間達の空気が一気に緊迫した物へと変わる。
「・・・だったらまずはアクゼリュスが消滅したのか確かめる必要があるな。ただこちらから連絡せずとも、アクゼリュスと距離が近い国境かセントビナーから報告が来るとは思うが・・・」
「・・・いえ、すぐにダイクロフトからアクゼリュスの様子を確かめてみたいと思います」
「何・・・そんなことが出来るのか?」
「はい・・・すぐに確かめてきますので、少々場を退席してもよろしいでしょうか?事の真偽が分かり次第、ただちに戻ってまいります」
「そうか・・・分かった、頼む」
「では、失礼します」
「では私達も一緒に行きます」
ピオニーはその中で冷静に務めるようアクゼリュスの真偽を待つことが必要と言い出すが、ヒューバートが確かめてくると軍属の人間らしいかしこまった言い回しで言い出したことにすぐに了承を返し、ヒューバートの後に続いてすずにしいなにユーリが部屋を出ていくのを見送る。
「・・・出来ればそうでないと思いたい所だが、そう都合よくはいかんのだろうな・・・」
「ピオニー陛下・・・もし、本当にアクゼリュスが消滅したのでしたら戦争は避けられないのでしょうか・・・?」
「・・・大丈夫、と言い切れる可能性の方が少ないだろうな。おそらくルークに殿下が生き残っているとこちらが手紙を渡した所で、今頃ヴァンより受けた報告とアクゼリュスが消滅したことにより嘘だと突っぱねられ戦争を吹っ掛けられる可能性が高い」
「そんな・・・!」
ヒューバート達がいなくなり玉座に深く背を預け天を見上げるピオニーだったが、不安に満ちたイオンの疑問にすぐに向き直り疑問に答える・・・が、あまりにも希望の見えない予測に泣きそうな声を上げる。
「色々言いたいことはあるだろうが、まずは観測結果を待つぞ。まだそうだと決まった訳じゃないんだからな」
「っ・・・はい、分かりました・・・っ!」
(あぁ、ナタリアそんなことないって言いたかったんだな・・・多分)
そして間髪入れずこれ以上話すことはないといったよう話を打ち切るピオニーに、ナタリアが悔しそうに唇を噛み締める姿を見てルークは止めるためだと納得した。キムラスカはそんなことはしないと言いたげだった事を察して。















・・・時間にして数十分といった所だろう。ヒューバート達を待つ間、謁見の間ではピオニー達マルクト勢以外は何も言葉を発することなくジッと立ち尽くしていた。事態が事態な為、余計な口も挟めずに。

そしてその重苦しい静寂はヒューバート達が謁見の間に戻ってきたことにより、打ち破られる事になった。










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