否応なしに変動する関係

「・・・どうするか悩んでいるのかはよく分かりました。ですがそこまで思い悩んでいるのに無理に付いてくる必要はないと僕は思います」
「っ、それは違うわ!悩むからこそそれを解決するために動くべきよガイ!」
ヒューバートがその独白から改めて行かないように話を進めようとするが、すぐさまティアは噛み付くように反論する。迷うからこそ行くべきと、言葉面だけ美談に聞こえる実質的にガイを外したくないといった自身の気持ちだけを優先させた言葉で。
「ではそれでもしガイさんが付いてきて、取り返しのつかないような事態になったとしたなら貴女は責任を取れるのですか?」
「なんですって・・・っ!?」
「ガイさんが何をどう悩んでいるのかを詳しく聞いていないのもありますが、その心の内までは推し量りようもありません。ですがこう言った命すら危ぶまれる事態だからこそ迷いというものはその人だけでなく、周りまでもを巻き込みかねません・・・ガイさんがそう言った考えを持ってるかそうでないかを考えずに言っても、もし謡将達にキムラスカの人々と相対した時にその説得次第ではあちらになびくといった可能性も今のガイさんなら少なからず有り得ると僕は見ています」
「「っ!?」」
(師匠達になびく、か・・・キムラスカは無いにしても、それは有り得るかもしれないんだよな・・・前の事だったり今のガイの心境を考えると・・・)
ヒューバートは眼鏡を押さえながら責任という言葉を用いティアは一層苛立ちを強めるが、続いた予測にガイと共に息を呑みルークも静かに納得する。改めて考えても、ガイがヴァン達につく可能性は少なくはないと。



(・・・私としたことが、迂闊だったわ・・・ガイが兄さん達の側につく可能性もあるということを考えなかったなんて・・・!)
そんなルークに対してティアはその可能性を微塵も考えてなかった事を迂闊と悔いた・・・実際の所は迂闊とかそういった物ではなく、現実的な視点を持たずにガイは自分の仲間だからとマイナスイメージを全く見据えなかった公私混同も甚だしい物の見方なのだが、ティアはその事に思い至ることは出来ない。
「貴女だけでなくガイさんも反応したと言うことは、少なからず感じたようですね。ガイさん自身、もしかしたらあちら側に何かを言われればそういった事になりうるという可能性を」
「っ、ガイ・・・」
「・・・すまない、ティア・・・今言われて俺も自覚してしまった・・・その時が訪れてしまったらそうなる可能性もある、とな・・・」
「っ・・・(そうなったら流石にまずいわ・・・ガイの性格に兄さんとの関係を考えると、一度敵に回ったらもう戻ってこないことも有り得るかもしれない・・・!)!」
その中でヒューバートはガイの反応についてを口にしティアがそうであってほしくないと懇願するように名を呼ぶが、視線を反らしながら観念するといったよう気持ちを正直に白状する姿にここに来て一気に焦りを覚えた。流石にこの状況の中で無条件にガイを大丈夫と言い切る事は出来ないとの考えに至り。
「・・・ガイさんの気持ちも聞けたところで、ここでティアさん以外にもお聞きします。皆さんはどうするべきというか、ガイさんにはどうしてほしいと思いますか?」
「・・・私としては不確定要素は省きたい、とだけ言っておきます」
「・・・僕は、そこまでガイは無理をする必要はないと思います。アニスも行きたくないと言いましたし・・・」
「・・・私としましてはガイがそうするなどと信じたくはありませんが、そのように不安を抱いているのを無理強いしてまで連れていくのはどうかと思いますわ」
「・・・フン、行きたくねぇなら来なきゃいいだけの話だろう」
(皆、まで・・・!)
更にだめ押しとばかりにジェイド達にどう思うのかとヒューバートが問うと、アニスにルークを除いた面々が言葉は違えど付いてこなくてもいいと揃ったことにティアは支えを失ったように愕然とした。誰も自分の味方をしないし、ガイを大丈夫と思ってないのだと知り。











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