否応なしに変動する関係

「・・・不安だって気持ちは分かるけど、そろそろ俺は戻るよ。これ以上話す事はないと思うし、あんまり遅いとミュウが俺を探しに来るかもしれないしさ」
「・・・そうか。では後はゆっくり休むといい、明日また会おう」
「あぁ・・・じゃあまた明日」
そんな空気に気まずげながらも退出を口にするルークにユージーンは反対せず頷き、挨拶を交わして退出していく。



「・・・さて、明日どうなると思う?」
「ルークの予想通り、まずティアは二人の引き留めにかかるのは間違いないと見ていいだろう。だがそれでルークとティアが衝突したなら、結果がどうなるか・・・全く予想が出来ん。それこそティアが何をするのかという予想がな」
「でしょうね・・・長引けば長引くほどティアがルークに対して酷い言葉を投げ掛けるのは目に見えるし、その流れ次第では・・・ティアがかつての未来から戻ってきたことを示唆するような事を言いかねないわ」
「そうなったら・・・どうなるにせよ、ルークさんは辛いことになると思います・・・かつての未来から戻ってきたティアさんの行動と想いを知ったら、どう対応するにしてもその心中はティアさんに対する想いに責められ苛まれてしまうでしょう・・・」
「・・・だよな、やっぱそうなるか」
そしてルークの姿が見えなくなったのをきっかけにスパーダが表情を引き締め場にいる面々に問いを投げ掛けるのだが、ユージーンにリフィルにアニーと揃ってろくなことにならないと予測する返答に頭をかきながら自身も思うと漏らす。
「ではそうさせないためにはどうするべきなのでしょうか・・・?」
「・・・少なくともガイかアニスのどちらかには同行しないと、何を言われてもきっぱり断るようにしてもらわなければならないでしょうね。でも今のガイがそれを素直に受け入れるとは思えないから、そうするなら・・・つけ入る余地のあるアニスね」
「っ・・・ジュディスさん・・・!?」
「悪いわね、ミント・・・でも私はもう決めてるの。彼が一層悩み苦しむような事になるのなら、そうならないように動こうと。その為なら非難されるような手段を用いることも私は辞さないわ」
「っ・・・!」
ミントがそうならないようにとどう対応をするべきかと悩むよう漏らすが、ジュディスが発した声にそちらを何気無く向いて・・・思わずミントは口を手で覆った。常日頃のジュディスの優しげであったり戦闘中の真面目で凛々しい表情とは違う、冷酷で冷たさを感じさせる表情になっていたことに。ジュディスもそうなっていることを自身で理解しながら告げた言葉にミントは更に戦慄した、酷い事をする事に躊躇いはないと言われたことに。






「・・・お帰りなさいですの、ご主人様ー!」
「・・・んだよ、遅いから寝てろっつっただろ」
「ごめんなさいですの・・・でもご主人様の事が気になって仕方なかったんですの・・・」
・・・そんな空気になっていることなど知るよしもなく、ルークは戻ってきた部屋で足元に来たミュウの出迎えを受けていた。しかし表面上はおざなりに返すしか今は出来ない為にミュウは申し訳なさそうに眉を寄せるのだが、それを見てルークはミュウの頭を掴みベッドへと歩き出す。
「・・・一々心配はいらねーよ。それにもう後は休むだけだから、俺の事なんか気にせずお前も休んどけ。いいな?」
「はいですの!」
(心配してくれんのはありがたいんだけど、出来れば自由に行動したいからそこは俺の言うことは聞いてほしいな・・・何も言わない俺が勝手にやってることじゃあるけど、やっぱりミュウに対して申し訳無い気持ちになるし・・・)
そしてベッドに腰かけて顔を突き合わせた後ミュウを足元に置き直し、ルークはベッドに寝転がる。元気な返事を聞き、居たたまれない気持ちに浸りながら・・・








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