否応なしに変動する関係

「・・・でもルミナシアにグラニデのアニスの両親についてはまだいい方・・・今重要なのはそれが原因でアニスがスパイをやってても、それを気付かず止まりそうにないだろうここの両親のことだ」
「・・・確かにそうだな。それで被害を与えられんのがこっちってのもまた割に合わねぇ話だしよ」
ルークはそのままいかに両親が起こすだろう悪意なき危険の可能性についてを話し、スパーダもまた重く頷く以外に出来なかった。
「・・・両親についてはジェイなどに頼んで秘密裏に行動してもらった方がいいだろう。大っぴらに行動しては良からぬ事態を招きかねんだろうからな。リフィル、頼めるか?」
「えぇ、構わなくてよ」
「え・・・そんな、皆に行動してもらうなんて・・・」
ユージーンはそんな中で状況打開の為にと案を出し、リフィルが快諾するのだがルークは申し訳なさそうに声を上げる。
「状況から見て事態を解決するには早い方がいいのだろう?ならばこちらが手分けをして行動した方が手っ取り早いし、下手に時間をかければ手遅れになる・・・なんてことも有り得ない訳じゃないだろう。だからここは俺達に任せろ、ルーク」
「そうです、ルークさん。こういう時の為に私達は来ているんですから、アニスの両親については任せてください・・・それとも、私達はそんなに頼りがありませんか?」
「いや、そんなわけじゃ・・・わかった、アニスの両親については皆に任せるよ」
だがまっすぐに自分を見据えながら返してくるユージーンとアニーに、ルークは言い訳を言うことも出来ずに任せると返した・・・意志が強いと確信したからこそ、何を返しても引いてくれないと思ったために。
「フフ、物分かりが良くなったわねルーク。私達に初めて本音を明かした時に比べたら全く違うわよ」
「・・・いや、物分かりが良くなったっていうか断る方が難しいって思ったからだよ・・・それにアニスの両親については解決しなきゃいけないことだって思ったからさ。それも、出来るだけ早く・・・」
「それでも貴方が私達を頼ってくれると言うのは嬉しいの。勿論事態の解決には力を尽くすから安心してくれていいわ」
「・・・って言っても、俺が皆の為に出来ることって何なのか分からないんだよ・・・ここまでしてもらって申し訳無いって気持ちですげぇいっぱいなんだけど、どう返していいか分からないし・・・」
「・・・どう返していいか、ね」
ジュディスはその様子に嬉しそうに声をかけるが、ルークがどう返していいかと非常に思い悩んでいる様子に言葉を繰り返す。と、そこでスパーダがルークに近付き後頭部に手を添え自分の額とルークの額を軽くぶつけさせる。
「っ・・・なんだよ、スパーダ・・・?」
「どう返すかとか、んなこと考えんな」
「えっ?」
「一々そんなこと考えてっからどうすりゃいいだとか、余計な事で頭いっぱいになってんだよ。どうしてもそれを返してぇって言うんなら後にして、今は状況を良くするためになんでもする覚悟で俺達を頼れ・・・変に遠慮されっとこっちが悪いことしたみたいな気分になるから、せめてそこら辺は割り切って考えろ。いいな?」
「変に遠慮、か・・・わかった、そうするよ」
「ならよし」
(確かに俺がずっと遠慮した態度を取ってたら皆も気分良くないだろうし、スパーダが言ったようにせめてそこは割り切ろう・・・状況をより良くするためにも・・・)
いきなりの行動に軽く驚きながら訳を問うルークだったが、スパーダが目を反らさせまいと手と目に強い力をこめながら告げた言葉に納得して頷くと笑顔を浮かべながらその拘束を解いて離れた・・・その時ルークは意識していなかったので分からなかったが、周りにいたジュディス達もスパーダに同意とばかりの笑みを浮かべていた。











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