否応なしに変動する関係

「・・・なぁガイ。どう言った考えがあって俺達に付いてくるかどうか、そのことについて聞く気はない。けどせめて俺達に付いてくるのかそうしないのか、どっちに気持ちが傾いてるのかって事くらいは話してくれよ・・・」
「っ・・・どうしたいか、か・・・」
だがルークが気まずそうに続けて話しかけてきたことに、ヴァンに対して考えを深めることも出来ずにガイは苦み走った表情で反応して視線を反らす。
「・・・・・・正直な気持ち、今のルークの話を聞いて謡将に対しての憤りも感じたが・・・それ以上に、恐ろしさを感じた・・・俺も他人事じゃなくて、あの時死んでたのかもって思ってな・・・」
「ガイ・・・」
しかしそれでもなんとか答えようと自身の中の葛藤を絞り出すように口にするガイに、ルークはそっと名を呟く。
「・・・それでも俺がルーク達に付いていきたいって思うのは、俺の中にある迷いをどうにか解決したいって気持ちがあるから・・・なんだが、どうしたらいいのか分からなくなったよ・・・」
「・・・そう、か」
更にガイは抑えた表現で自嘲気味に笑い内心を語り、ルークはそっと後ろに振り返る。
「・・・なんか悪かったガイ、俺は部屋に戻るわ」
「・・・あぁ・・・」
「後戻る前に言っとくけど・・・いつまでも結論が出ないくらいに悩む程なら、付いてくるかそうしないかって事を考えんの一回止めて、何か別にやりたいことを考えてみろよ・・・多分ずっとその事ばっか考えても息が詰まるばっかだろうしな」
「っ、ルーク・・・」
「じゃあな・・・」
ルークはそのまま最後に言うことを言って部屋を退出する。何かを言いたげに手を伸ばすガイに視線を向けることなく・・・






・・・その後、ルークにあてがわれた部屋・・・ではなくある部屋の中。
「・・・どうだったの、成果は?」
「・・・俺の見立てじゃガイが一晩で結論を出せる見込みはまずないと思う。予想通りガイが師匠のやったことに視点を向けてなかったからってのもあるけど、ホドの人から話を聞いたって事実が何より効いてたのは目に見えてた・・・ガイに申し訳無い事をした気持ちはあるけど、そのおかげでどういった気持ちなのかってのが把握出来たからな・・・でもごめんリフィル、ホドの人だってわざわざカツラまで被って演技してもらって・・・」
「構わなくてよ。ガイに下手に暴走されるくらいならこのくらいはむしろやっておかないとね」
その部屋に来たルークはジュディスにアニーにミントにスパーダにユージーン、そしてその五人の先頭に立っていたリフィルと会話を交わす・・・そう。実はガイと話をした銀髪の女性の正体は、変装したリフィルであった。しかし何故そんな手の込んだ事をしたのかと言うと・・・
「この事がバレたらガイ、気分を悪くするだろうな・・・」
「仕方のないことよ。ダイクロフトにホドの生き残りの人もいることはいるけれど、その人にこうしてほしいと指示を出して何事もなく進むかどうか危ういと思ったからこそこうしたのだから。それにもしその人がガイをガルディオスの生き残りだと感付く事もそうだし、またガイがその人に対して何を思ってか行動を起こしたならこちらの不利になるような事になる可能性も有り得る・・・そう貴方も承知したからこういった芝居の形になったのよ」
「まぁ、そうなんだけどな・・・」
・・・そう、もしもの危険性が高い為にリフィルがホドの住民になりすましたのである。ガイの本音を探ると同時に、ガイにこちらの思惑を悟らせないように万全を期して。
とは言えガイをまた騙すような形になったとリフィルの言葉を受けてもルークは表情を苦くする、これからの為とはいえガイの古傷を無闇に抉るような事をしたと思って。









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