否応なしに変動する関係

・・・予想もしていなかった出会いに心を大きく揺さぶられることとなったガイはなんとか気持ちを持ち直し食事こそ取ったが、すぐにまた気分を沈ませてベッドに腰をかけ頭を抱えた。自分がどうするべきかを否応なしに考えざるを得ない為に。









「・・・おい、起きてるかガイ?」
「っ!・・・ルーク・・・?」
・・・どれくらい考えに没頭していたのか、全く分からない状態になっていたガイ。
それだけの状態になっていた時に部屋にルークが入ってきたことに、ガイはハッと余裕を全く浮かべる様子もなく呆然とした表情を浮かべる。
「・・・なんつー顔してんだよ、ガイ」
「あっ・・・いや、ちょっと・・・な・・・」
ルークがそんな表情についてなんとも言えない様子で指摘すると、ガイは少しも取り繕う事が出来ずに視線をさ迷わせる。
「そ、それよりどうしたんだルーク?俺に何か用なのか?暇なのか・・・?」
だがそれでもとばかりに無理に笑顔を作りガイは明るい方向に話題転換しようとするが、ルークは眉間にシワを寄せながら斜め下に目を伏せる。
「・・・お前が明日どうしようって考えてるか聞きに来たんだよ。でも今のお前を見てたらすぐに分かった・・・すげぇ悩んでるってのがな」
「っ!?・・・そんなに、分かりやすかったのか・・・?」
「むしろわかんねー奴なんかいるのかってくらいだっつーの・・・」
「・・・そうか・・・」
そのまま見たままを告げるルークにガイは驚き確認を取るが、分かりやすすぎるとの答えに誤魔化すこともせずにうなだれる。
「・・・なぁ、なんでそんなに悩んでんだよ?またこっちに来るまでお前そんな悩んでなかったよな?」
「・・・いや・・・ちょっと、な・・・」
「・・・ガイ。お前、俺達に付いてくるかどうかをなんでそこまで悩むんだ?」
「えっ・・・なんでそんなことを言い出すんだ、ルーク・・・?」
ルークはその様子に前を向き何故と言うが、ガイはハッキリ答えることが出来ずに口ごもる。そんな姿にルークが意を決したように微妙に方向性を変えた問いを向け、ガイは戸惑いの目と声で返す。
「・・・お前が理由を言いたくねぇ気持ちってのはなんとなく分かる気はする。本当になんとなくっつー程度でうまく言葉に出来ねぇんだけどな・・・けどだからこそ自分でもどうかって感じてんじゃねぇのか?命をかけて俺達に付いていくことが本当に正しいのかっとかってより、自分の為になるのかってな」
「っ!?・・・それ、は・・・」
自分自身でも言葉を探し、選び取っていると言った様子で頭をかきながらルークが漏らした言葉にガイはたまらず視線を反らし言葉を失った・・・ルークの幼いながらこその本質を単刀直入に突いた外から見えた姿に、復讐とヴァンと対面することを命と天秤にかけてどちらにも傾くことのない事実をガイ自身否定することが出来なかった為に。
「ガイ・・・俺は今でも師匠が俺の事を利用しただなんて信じたくねぇ・・・信じたくねぇけどアクゼリュスじゃ実際に剣を向けられた・・・多分あいつらがいなかったら俺も死んでただろうし、下手をしたらガイ達もに死んでたかもしれない・・・」
「っ!?よ、謡将が俺も殺すつもりでいたってのか・・・!?」
「・・・じゃないと変だって、今更だけど思うんだよ・・・師匠が俺達の前から逃げた時、師匠はイオンをもう一匹の魔物で連れていこうとしててティアは神託の盾に連れてかれかけたって言ってたけど・・・師匠がそうしなかったってことは、そうすることも考えてたって事なんじゃないのかって・・・そう思ってしまうんだよ・・・」
「っ・・・!!」
更にここに来てルークがまた極めて悲し気な様子で口にした予想に、ガイは唖然として震えた・・・あの時状況次第で他ならぬ協力者であるヴァンに助けの手を差し出されることなく、見殺されていた可能性があったということに。








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