未知は絶望と希望をはらむ物

「・・・失礼ですが、何故こちらに来られたのでしょうか?」
「興味本意だ、ぶっちゃけそれしかない!こうでもしないと俺がダイクロフトに来ることなんてないと思ったからな!」
「そ・・・そうですか・・・」
そんな中でなんとかユージーンが気を取り直して訳を問うが、ハッキリと興味本意と笑顔で返ってきた事にたまらず脱力気味に声を漏らすしか出来なかった。
「ま、俺については気にすんな。こっちに来たのは俺のワガママみたいなもんだから、お前らにはマルクト側からは抗議は届かん」
「それは・・・いえ、もういいです・・・少将。ダイクロフトの内部は初めて来た者には広く迷いやすいので、陛下と共にみだりに動くことのないように注意をしてください」
「・・・はい、心得ました」
更に気にするなと楽観的な様子を見せるピオニーに直接言っても無駄だと思ったのか、ユージーンはフリングスに視線を向けて注意を促しフリングスもまた承知だと頷く。下手に動かさせはしないと。
「・・・さて、俺達は今からアクゼリュスの人達とマルクトの代表と共に話をするがルーク達は部屋を用意するから心の整理をしてくれ。特にガイにアニス、お前達はな」
「・・・あぁ、そうさせてもらう・・・」
「・・・そうさせてもらう・・・」
(・・・まぁどっちも時間をかけた方がいいだろうし、話し合いに俺達がいなくても問題はないだろうしな)
それでユージーンはルーク達、特にガイとアニスに向けて注意をすると二人は沈痛な面持ちで頷き、ルークも内心で納得する。
(ただ、後は二人がどうするかだけど・・・俺もどうするかちょっと考えてみないとな。何か出来るかどうかもだけど、二人がどう考えて動くのかを考えないとどうしようもないし・・・)
そしてルークも自分も考えてそれ次第で動くと決意する。やらなければならないことがあるならと。



(ガイ・・・アニス・・・貴方達はこんなところで終わるような人達じゃないと信じているわ・・・!)
一方、ティアは二人の事を信じ立ち直る事を願う。二人ならと、信頼を浮かべる形で。















・・・ルークとティア、二人の考えはまた違える事となった。そんな状況の中、ルーク達はクレス達の案内の元で用意された部屋へと入った。

尚、部屋割りはガイとアニスだけでなく各々考えたいことがあるかもしれないからと一人一人に個室を用意される形になった。



「・・・すまん、少しいいか?」
「あ?・・・何だよ、俺に話か?」
「あぁ、ちょっと聞きたいことがあってな・・・」
「ふ~ん・・・」
そんな部屋のベッドに腰をかけて考え事にふけっていたルークだが、ウィルが少し複雑そうな様子を見せていることに手元近くにいたミュウに目線を向ける。
「ホレ、ちょっと外に行ってろ。何か聞かれたくない話っぽいからな」
「分かったですの!」
それで追い出すように退出を言い渡せばミュウは気にした様子もなく元気よく返事をして、ピョコピョコ飛びはねながら部屋を出ていく。
「・・・すまんな、気を遣ってもらって」
「いや、別にいいけど・・・それで俺に何の用なんだ?」
「まず報告だ。アクゼリュスの人達については安全が確認されるまではこちらで預かることになった。現時点で地上に戻るのは人数が人数なだけにグランコクマに人が溢れかえり、混乱を招きかねないという話も出たが、何よりも事実が事実なだけにマルクト内部に噂が広まりかねない可能性がある。預言の事もそうだが、ここのこともな」
「あぁ・・・そう言ったことを考えるとここにいてもらった方がいいってことか・・・」
「そうだ。ちなみにこの事についてはダイクロフトの人々にも話をして少数なら黙っていてくれればグランコクマに降りる事も出来ると言ったが、下に降りると言った人はいなかった。現状では下に降りるよりこちらにいた方が安心であると思ったのもあるのだろうな」
「だろうな・・・」
それで早速と素に戻りウィルと話をするルークだが、報告からの推測になんとも言えない表情を浮かべる。現実的な目線としてアクゼリュスの住民はここしか安全ではないと、住民自身が理解していると言った様子に。






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