未知は絶望と希望をはらむ物

「まぁイオン様にナタリアはモースがどう対応するかは分からないにしても、アニス達はまずそう言ったことになるでしょうね」
「そんな・・・」
更にジェイドが畳み掛けるように告げた残酷な言葉に、アニスが青い顔のままうつむく。
「ジェイド、少し言い過ぎでは・・・」
「私はルークの言ったことが間違ってないと、アニスの疑問に補足を入れただけです。それにちょうどいい機会ですし、ガイ達はこの辺りでどうするべきかを決めるべきではないかと思います」
「え・・・旦那、それどういう意味だ・・・?」
(ジェイド・・・?)
そこにイオンが入ってくるが悪びれる様子がないどころか前にない発言をしたことに、ガイだけでなくルークもどういうことなのかと視線を向ける。
「ルークが言っていましたが、こちらの皆さんは自分から首を突っ込んでいるので別に問題はないですし私としても協力していただきたいと思っています。ですがガイ達は身の安全の事を思えば無理に我らに協力していただく理由もありません」
「っ・・・それってつまり、俺達にはもう用はないと言ってるのか・・・旦那・・・!?」
「大佐・・・いくらなんでも、それは聞き逃せません・・・!」
(ガイ、それにティアまで・・・でもジェイドの言ってる事は前の事を抜きにして考えると、間違いじゃないんだよな・・・これから先、命の危険が全くない訳じゃないんだし・・・セフィロトのユリア式封呪の事を知らないのは仕方ないにしてもな・・・)
ジェイドはその視線に対して淡々と言葉を紡ぐが、中身も相まって用済みとも取れるとガイにティアが強い言葉を向ける。だが端から見ていたルークは妥当だと感じていた。前とは違う道を歩んでいるからこそ尚更に。



(冗談じゃないわ!私はこんなところでルーク達と別れる訳にはいかないのよ・・・!)
一方でティアは見た目同様、内心も怒りに満ちていた。ジェイドに対する敬意も何もなく。
「用済みとは言っていませんが、身の振り方を考えるべきではと言っているのですよ。貴殿方は立場的に言えば巻き込まれていたり、自分から首を突っ込んだんだとは言え預言の事を考えればルークにアッシュ、それとナタリアにイオン様は立場的に無関係を貫けないでしょうが、貴殿方は今の立場さえ捨てればマルクトに亡命という形でこちらが受け入れて安全を得ることが出来ます」
「「!!」」
だがすぐにジェイドが身の振り方と言って亡命との言葉を出したら、ガイとアニスの二人が驚きに目を見開き視線を向けた。
「・・・大佐、それは本気で言っているんですか・・・?」
「本気ですよ」
「どうしてですか!?私達が邪魔だと言うんですか!?」
「邪魔と言うよりは、ここから先は生半可な気持ちで付いてこられても困るんですよ。下手をすれば戦争になるという状況で土壇場になって逃げ出されたり尻込みをされた場合、危険に陥るのは私達になりますからね。そんな状況に陥るくらいでしたら初めから付いてこないと言っていただいた方がマシです」
「大佐・・・っ!」
「・・・何故私に怒りを向けているのですか、ティア・・・?」
一人ティアはそんなことを言うなと怒りを露にするが、ジェイドがあくまで現実的な考えを崩さない様子に今にも飛びかからんばかりに睨み付ける。だがジェイドもその空気を当然察しているため、眼鏡を押さえながらあくまで口調だけは穏やかに一触即発の空気を滲ませる。
「はいはい、そこまでにしとけよ」
「っ、貴方には関係のないことよ・・・!」
「関係がないってよりは個人の意志ってやつを考えてやれ。ジェイドが言ったのはあくまでどうするか選べみたいな事で、付いてくるなとは言ってねぇんだ。それを最初からガイ達も付いていく事を前提で、そこから離すようなことは間違いみたいに言うのはガイ達の意志を全く考えてないんじゃないのか?・・・せめてガイ達にどう思ってるのか聞いてから抗議しろよ」
「っ・・・(気に入らない・・・気に入らないけれど、せめてガイ達がどう思ってるのか言葉にしてもらわないと私が全く何も考えてないみたいじゃない・・・)!」
そんな場にユーリが仕方なさそうに入ってきてティアは引っ込めと一層に睨み付けるが、ガイ達を無視したような発言と言われギリリとこれでもかとばかりに力強く歯を噛み締め押しとどまる。ここで反論すれば自分がみっともないだけだと感じて。









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