未知は絶望と希望をはらむ物

「では導師達は部屋を用意するからそこで休むといい」
「あ・・・いえ、私達もダイクロフトに向かってもいいですか?」
「・・・どうしてだ?」
ピオニーはそこで視線をイオン達に向け休むように勧めるが、自分達も向かうとの返答に眉を寄せる。
「陛下とゼーゼマンさんの話を聞いてアドリビトムの皆さんをまだ信じきれていないとの事でしたが、だったらせめて私達も共に行くことで陛下達にも皆さんの事を大丈夫だと信じていただきたいんです。皆さんはマルクトを騙したりするわけではないと」
「・・・成程、そういうことか。その気遣いに感謝すると言いたいが、そちらはそれでいいか?」
「こちらは大丈夫です」
「よし、決まりだな」
イオンはその目に強い意志を込めてアドリビトムの面子の安全さを証明したいからと言い、ピオニーがクレスに確認を取ると満ち足りた笑みを浮かべる。
「では少し宮殿の外で待っていてくれ。人数制限の事を考えて十人程ダイクロフトに向かう者を人選する時間をもらう」
「はい、では失礼します」
そして外に出るよう願うピオニーにイオンを始めほとんどが頷き、場を後にしていく。









・・・それで宮殿の外で代表達を待つことになった一同。
(どうなんだろうな・・・ここから先の事を考えるとやっぱりグランコクマって言うか、ピオニー陛下が近くにいるうちにガイがガルディオスの生き残りだってのが知ってもらうのがいいと思うんだけど・・・やっぱり無理があるんだよな。それを切り出すきっかけってガイが恨みを持ってるってカースロットで明らかになったからなんだし・・・)
その中でルークは集団から少し離れた場で一人考える、ガイにどうにかガルディオスだということを明かしてもらえないかとこの後の事を思い。
「どうした、ルーク?」
「・・・あぁ、ガイ・・・(・・・怪しまれない程度に色々と今どう思っているのかを探ろう。じゃないとどう判断することも出来そうにないし・・・)・・・ちょっと考え事してたんだよ。これからの事もだけどガイも含めたお前らの事についてな」
「・・・俺達についてか?」
そんな時に当の本人から声がかかってきたことにルークは状況の打開の為、眉間にシワを寄せ視線を斜め下に向けながら意味深に答える。
「・・・さっきのピオニー陛下との話であっただろ、俺とアッシュの事。あの時は俺達の安全の事について言ってたけど、それでもどうなるか分からねぇだろ。これからの事は・・・」
「・・・まぁ確かにな」
「・・・それでどうなるか考えていく内にダイクロフトの奴らは自分から首を突っ込んだんだからともかくとして、ガイ達はどうなるのかって思ったんだよ・・・もしも戦争が起こったら俺だけじゃなく、ガイ達もキムラスカやダアトに戻れなくなるんじゃねぇかってな」
「っ!・・・それは・・・」
(絶句するよな、そりゃ・・・多分ガイはそう言ったことは考えてなくて、俺とアッシュや師匠の事について考えてたんだろうし・・・だからこそそれが活きてくるんだけど)
そのままの状態で話を進めるルークは戻れなくなると言った時のガイの苦い顔を浮かべたリアクションをそっと目を向けて確認して考える、ガイの心境と予想通りと。
「えっと、ルーク様ぁ・・・それってどういう意味なんですかぁ・・・?」
「(アニス・・・まぁ仕方無いか、皆がいるんだし話を聞かれても)・・・戦争が起こるような状況で、俺とアッシュのどっちかって言うかその・・・まぁとにかく、『聖なる焔の光』と一緒にいた奴らをモースがほっとくのかって考えたんだよ。アイツと会って話した時の事を思い出すと、絶対ろくなことが起きそうな気がしねぇし・・・」
「確かにほば間違いなくろくでもない事になるでしょうね、ガイ達は。どう考えても口封じくらいはさせられると思いますが、もし反抗するような事があればそれ以上の事も十分に有り得るでしょう。いえ・・・むしろ無事に生きている方が有り得ない可能性の方が高いでしょうね」
「!?・・・そんな・・・」
そこにアニスが不安そうに話し掛けてきた事に視線をそっと向けてからすぐに背けつつ言葉を選んでいると言ったようにルークは話を進めるが、ジェイドが横から多少段階を起きつつ直接的に可能性を告げたことにアニスは顔を青く染めた。自分にも死の危険が迫っていると言われたも同然の言葉に。











16/21ページ
スキ