未知は絶望と希望をはらむ物

「・・・話を戻そう」
ピオニーはそんなティアに構わず、場の空気を仕切り直す。
「ジェイドからの手紙を受けて最低でも二人の協力を取り付けたいと思っていたが、それは出来た。だがそれはあくまでもアクゼリュスを落とさせないようにした上で、二人を犠牲にしないようにという最低限の処置に過ぎない。本題とも言えるのは神託の盾の動きについてであったり、キムラスカとモースがどのような対応をするのかということだ」
「・・・それは、どうあっても戦争をさせようとする可能性についてを言っているんですか・・・?」
「そうだ。現状で神託の盾が導師達の動きを察知しているとは思えんが、こちらにいると知ればどのように動くかは分からない上にキムラスカとモースがどういったことを言い出すかも分からない。それにいつまでもアクゼリュスが消滅しない上に導師達の行方が知れねとなったら、こちらを疑いだすだろう。導師達がこちらにいるかどうかということをな・・・だからこそ慎重かつ早くどうするべきかを考えなければならない。戦争を起こさせないためにもな」
「「「「・・・」」」」
そのままピオニーが真剣に重くこれからの事を語る姿に、会話をするイオンを始めとして一同は表情を固くして沈黙する。行動一つ誤れば戦争になりかねないという、あまりにも危険な状況に。
「・・・とは言え、だ。辻馬車に長い時間乗ってきて流石に疲れているだろう。今日はこの辺りでこの話については切り上げるから、導師達はゆっくり休まれるといい」
「心遣いはありがたいですが、そんな暇はありませんわ!すぐにどうするべきかを話し合いましょう、ピオニー陛下!」
「・・・殿下にそう言っていただけるのはありがたいが、こちらとしてはアクゼリュスの住民についての話し合いを進めたいんだ。そちらにいる代表に加え、そのギルドの奴らとな」
「え・・・?」
「今の状況としてダイクロフトにアクゼリュスの住民がいるというのは手紙から伝わっているが、それが本当かどうかというのを目にしていない以上は無条件に受け入れることは出来ない。それにそれが本当であるというのならばこそ色々と話をしなければならない。住民についてどうするかというのをな。だから今日はその確認と共に話に専念するために殿下達は休まれるようにと言ったんだ。本格的な話し合いは明日にするためにな」
「・・・分かりました、そういうことでしたら・・・」
そんな空気を自らここまでと言い締め括ろうとしたピオニーだがナタリアが勢いよく気遣い無用と言い出した為、アクゼリュスの住民についてやることがあると説明するとナタリアは仕方ないと意気消沈して引き下がる。
「と言うわけだが、構わないか?」
「はい、こちらも陛下がそう言われると思っていました。ダイクロフトに案内する用意も出来ています」
「ですが無条件でダイクロフトに人を招き入れる訳には参りません。こちらも協力をするためにこの場に来ているとは言え、まだマルクトと信頼関係を結べている訳ではありません。ですのでこちらに来ていただくのなら人数制限をかけさせていただきますが、よろしいでしょうか?」
「・・・まぁそちらの立場を考えれば当然の事だとは言えるな。分かった、人数制限に関しては了承しよう」
「陛下・・・」
それでアドリビトムの面々に視線を向け話をしてクレスにヒューバートの答えにピオニーは頷くが、ゼーゼマンが快くないといったよう声を向ける。
「危険だと言いたいんだろう、ゼーゼマン。だが向こうは危険を承知の上でここに来た・・・それもアクゼリュスの住民の危機を助けてだ。ならばこそこちらが向こうの言い分を聞くのがその礼に加えて、信頼関係を築く第一歩の筈だ」
「・・・は、そう言うことでしたら」
しかしすぐにピオニーの迷いない言葉を返され、ゼーゼマンも覚悟を決めたよう頷く。










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