未知は絶望と希望をはらむ物

「何、簡単な事だ・・・こちらとしてはお前達二人にも協力をしてもらいたいんだ。預言の達成をさせないためにもな。だが今の状況で二人の内のどちらかでもキムラスカ、もしくはモースにヴァンの手の者に捕まれば台無しになりかねんというのは分かっていると思うが・・・二人の関係がどういうものかというのは、ジェイドの手紙から大体は把握している」
「「・・・っ!」」
ピオニーはその意味についてを説明するが、二人の仲についてを突いた声にルークは苦く、アッシュは嫌そうに表情を歪める。
「だから俺は聞いているんだ。互いについての感情を抑えた上でこちらに協力するかどうかとな」
「「・・・」」
(ピオニー陛下の考えは間違ってないわね。二人が協力するかどうかは確かに重要な事だし・・・でも二人、特にアッシュが仲良く協力なんてしてくれるわけないわ)
それでようやく二人の協力についてを問うピオニーに二人が沈黙する中、ティアは有り得ないと心の中で断言する。そんなことにはならないと。



(・・・まぁ確かに前なら俺も冗談じゃねぇって言ってただろうし、アッシュなんか俺より早くふざけんなって言ってただろうな。でも今なら誘導出来る。アッシュに協力させるように話の流れを)
・・・だがそんなティアの断言とは全く正反対の事をルークは考え、心穏やかにしていた。然程難しい物ではないと言わん様子で。
「・・・確かに、俺とアッシュはそんな仲がいいとか言えるような関係じゃ無いのは事実です。けど陛下が言ったように今は危険だっていうのは分かってますし、何よりアッシュとは決めなければならないことがあります・・・だからその時が来るまで、俺はアッシュと協力する事には異論はありません」
「そうか・・・ならアッシュ、お前はどうだ?」
「・・・・・・こんな屑と協力なんぞ冗談じゃねぇと言いたいが、そいつの言うように決着をつけなければならない事があるのは事実だ。同意するのは癪なことだがな・・・だからこの屑は気に入らねぇが協力はしてやる。この屑だけに任せて下手を打ったら目も当てられねぇからな」
「・・・まぁ仲良くってのはともかくとしても、これで二人とも協力するって事で決まりだな」
それでルークからまっすぐ強い意志のこもった決意を静かに語ればピオニーは頷きつつアッシュに続けてその意を伺うが、明らかに苛立ちを表情に滲ませながらも協力はすると吐き捨てる姿にもう一度頷く。
(よし・・・状況的に無理がしにくいってのもあるけど、俺との決着を匂わせたらやっぱり乗ってくれたな・・・何だかんだで負けず嫌いなアッシュがあんな言い方されたら乗ってこないとは思わないしな)
その様子にそっとルークは安心する。自身の目論見がうまくいったことに。



(どういうこと・・・ルークはともかく、アッシュがルークと一緒になんて事を嫌そうにながらも言い出すなんて・・・!?)
だがルークとアッシュがダイクロフトで戦ったことなど知るよしもないティアは取り繕うこともなく、驚愕に表情を崩していた。有り得ない事が起きた、と。
「アッシュ・・・貴方、それは本気で言っているの・・・!?」
「・・・言っただろうが、この屑と決着をつけなきゃならないことがあると。そうでもなければ誰がこの屑となど一緒に行くなどと言うものか・・・!」
(決着?・・・多分ルークに対して何か意地を張っているのだと思うけれど、どうにも不自然だわ・・・アッシュだったら例えナタリアが何か言っても私達から離れただろうし・・・もしかして、私の知らない何かが起きてる・・・?)
たまらずそのままティアはアッシュに再確認を取るのだが、不本意そうなのを盛大に滲ませ吐き捨てるように返す姿に流石に変だと思い始める。何か理由があるのではないかと。






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