未知は絶望と希望をはらむ物

「じゃあ行きましょう。事情の説明は早い方がいいはずですから」
「そうですね、そうしますか」
「ではこちらでお待ちしています」
クレスがそんな空気を切り上げるように発した言葉にジェイドはすぐに頷き、ジェイの見送りの言葉を受けながら一同はグランコクマへと向かう。









・・・それでグランコクマに入ったルーク達はまっすぐに宮殿に向かい、謁見の間に入った。



「・・・よう、ジェイド!よく戻ってきたな!」
「はい、ただいま戻りました陛下」
そんな一同に満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに声をかけるピオニーにジェイドは冷静に頭を下げる。
「陛下、今はカーティス大佐と余計な話をする時間はないはずです・・・」
「分かっている、ゼーゼマン。一緒に来たというダイクロフトの住民、そしてアクゼリュスの預言について話を・・・そう言いたいんだろう?」
「・・・分かっておられるのでしたらいいのです」
(ピリピリしてるな、ゼーゼマンさん・・・まぁ理由は分かるけど、陛下は陛下で事態はちゃんと受け止めてはいるな・・・ただ正直、気まずいって気持ちもあるけど・・・そこは俺の問題だし、こっちの陛下には関係無い事だからな・・・)
そんな様子を見かねたゼーゼマンの固い声だがピオニーが空気を一瞬で引き締めて下がらせる様子に、ルークは妥当だと思う反面でルミナシアの事を思い出し少し気まずいと考える。結局何も言わずに迷惑をかける形でライマを出た事をピオニーの顔で思い出してしまうために。
「・・・まぁまずは礼を言っておこう。そちらの事情があったとは言え我が国の民を救ってもらったこと・・・感謝する」
「いえ、気になさらないでください。それより重要なのはこれからどうするかです」
「確かにそうだな・・・現状では確かにアクゼリュスの住民は救助され、聖なる焔の光とともに消滅と言った状況は回避された・・・だがそれで戦争の危険性が無くなかったかと言えば、そうではないからな」
「っ、何故ですか!?和平の条件は満たしたのですし、謡将は退けたのですから後はこういうことだからとキムラスカに伝えれば・・・!」
そんなルークに気付くこともなくピオニーは礼にと深く頭を下げるが、クレスが首を振りながら述べた言葉に頭を上げて戦争の可能性についてを口にする。だがナタリアがすぐにキムラスカは戦争はしないと声を荒らげるのだが、ピオニーはそんな姿に冷静に目を細める。
「・・・貴女はナタリア殿下だな?生憎だが事はそう簡単ではない・・・確かにアクゼリュスを救助したとなれば、一見はキムラスカも諦めるかもしれん・・・だがここで問題が一つ発生する。それは本当にキムラスカにモースが預言達成を諦めたか否かの判断が出来ない事だ」
「それは、アクゼリュス救助を成したと知ったなら諦めるはずですわ!」
「殿下はそう思うかもしれないが、問題はそこじゃない。預言によれば聖なる焔の光が炭鉱の街と共に消滅して、その後にキムラスカとマルクトの戦争が詠まれたのだろう・・・ここでキムラスカ側からして重要なのは正直な所、和平などではない。預言を達成を出来るかそうでないかだ。つまりは聖なる焔の光、『ルーク』という存在がアクゼリュスを消滅させたという事実があればいいということなんだが・・・ここで一つ質問をするが、アクゼリュス救助が無事に成ったとなって雑務を含めて全てやるべきことをやったとしたならその『ルーク』はどこに帰らなければならないと思う?」
「え・・・っ!!」
「・・・どうやら気付いたようだな、そうそう甘い状況じゃないことを」
そのまま感情を抑えた声で話をしていくピオニーにナタリアは勢いを崩さず返すのだが、意味深な言葉を向けられそれが何を指し示すか・・・そこに思い至ったナタリアは顔から血の気を一瞬で引かせた。キムラスカに『ルーク』が戻ったなら起こり得る可能性に気付き。










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