未知は絶望と希望をはらむ物

「・・・ティアがあぁなったのはそう言った訳なのね」
「そうさ」
そしてナナリーを中心としたグループの中、話を聞き終わった一同の中でジュディスが納得の声を上げる。
「どうして彼女はそこまで怒ってしまったのでしょうか・・・そんなに怒るような中身ではないと思うのですが・・・貴方は分かりますか、アッシュ?」
「・・・さぁな。あの屑に対しての怒りなら分かるが、どうやらそうでもなさそうだからな」
そんな一同の中でナタリアがアッシュに対して疑問を投げ掛けるが、簡潔に分からないと返す・・・アッシュが自分以外女性しかいないこのグループの中に入っているのは単にナタリアがここにいて、ルークと近くにいる場所を避けたからである。そうでなければアッシュからして居心地の悪い場にわざわざいようなどと、アッシュがするわけないだろう。
「どちらにしても今のあの子にそれ関連で話しかけない方がいいわね。同調以外の発言をしたら躊躇なく噛み付いてくるわよ、あの様子じゃ」
「そうですね・・・下手な事を言うだけでも怒り出しそうですし・・・」
ヒルダも自身の持つタロットカードを眺めながら注意をするよう言えば、ミントも悲し気に同意してティアの方をチラリと見る。



(・・・何よ、何なのよ一体あの人達は・・・!)
・・・そのようにして全員の注目を悪い意味で集めるティアは苛立ちの形相を隠すこともなく、ただナナリー達に対する怒りで心を一杯にしていた。ナナリーから言われたことを全く気にすることもなく、ただ自分にとって気に入らない事を言われただけと感じて・・・















・・・ある意味、まとまりを見せるルーク達。

そんな空気の中で一夜を明かし、朝になってジェイドからの発案ということで辻馬車に乗るメンバーの変更を切り出された。その事にティアは嫌そうな顔をしたが、昨日の一件を匂わせるジェイド特有の話し方を受けたことでやむを得ず何も言うこともなく身を引く事となった。下手に面倒ごとを起こしてもジェイド達に迷惑をかけるだけだと思い・・・まぁ実際は大分目に見える形で迷惑をかけているのだが、ティアはその考えには至れなかった。















・・・そんな形で辻馬車はグランコクマに向かった。時折の休憩で何か起こったなどとの報告が出てくることもなく順調に。






「・・・さて、グランコクマ近くにまで来れましたね」
・・・そしてグランコクマ近くに来て辻馬車から降りて別れを告げた一同はジェイドの声に頷く。尚、ティアもこの数日で気持ちを落ち着かせたようで一応は普通に戻っている。と言っても、少しつつかれれば間違いなく激昂して崩れるだろうが。
「時間的に見てもそろそろ都合がいい頃だと思いますが、誰が迎えに来るとか聞いていますか?」
「勿論だ・・・あぁ、あちらから来たな」
「・・・お待ちしていました」
そのままダイクロフトの迎えについての確認を取るジェイドにユージーンが答えつつも視線を向けた先からやってきたのは、ジェイである。
「貴方もこちらの方々の一員ですね?では早速アクゼリュスの方々を何人かお呼びしていただきたいのですが」
「分かっています、ちょっと待ってください」
ジェイとは初めて顔を合わせる為に慎重に話を進めるジェイドに、ジェイはすぐに頷き来た方に戻っていく。



・・・そして数分後、ジェイがパイロープを始めとした数人のアクゼリュスの住民を連れて戻ってきた。
「お連れしました。後、僕はまたしばらくこの辺りにいます。おそらくダイクロフトから本当に来たのか、という話が出てきそうですからね」
「成程、確認の為にマルクトの人間を入れることも念頭に置いての事ですか」
「そうなりますが、大勢人が来るのを確認したら僕はすぐにダイクロフトに戻り装置を撤去します。貴殿方の事を無条件に信じるわけにはいきませんからね。こちらとしても」
「・・・まぁ貴殿方の立場を考えれば仕方無い事でしょうね。分かりました、その際は人員は制限しましょう」
「理解が早くて何よりです」
そのままジェイはジェイドとダイクロフトに入ることについての会話をするのだが、空気がヒリつくような油断ないやり取りを平然と繰り広げる様子にティアにガイ達が唖然としたように目を見開いている。察するに年若いジェイがジェイドと対等以上にやりあっている様子に驚いたのだろう。









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