・・・それで全員集まり周りを警戒しながらも夜営をするのだが、ティアがまた一気に不機嫌になった様子に他の面々は少し遠巻きに距離を取らざるを得ない状況になっていた。









「・・・成程、そんなことが・・・」
「・・・流石に明日も連続で一緒に彼女達を乗せる訳にはいきませんね。特にナナリーに関しては今度こそ辻馬車の中でも構わず喧嘩を引き起こしかねませんし」
「へぇ、あんたがそういうって事は相当なんだな」
・・・そんな中でアスベルを中心として一つの集まりが出来ていて、事の次第を聞き終わった一同。ちなみにティアを除けば他にもルークを中心とした面々とナナリーを中心とした面々の計三つのグループが存在している。
ティアに会話を聞かれないようにと少し焚き火から離れた場所で小声で会話を交わすのだが、ユージーンの納得にジェイドが事態の改善を切り出す姿にユーリは軽く感嘆しながら話しかける。
「辻馬車の料金もただではないんですよ。それに元帥にはその用意の為に大分無理を聞いていただきましたから、下手に迷惑をかけるわけにもいきませんので尚更です」
「・・・そういう理由なんだな」
だが返ってきた返事にユーリはすぐに呆れた顔を浮かべる。理由があまりにもジェイドらしかった為に。
「しかし随分と苦労したな、アスベル・・・いきなりそのような事になるとは・・・」
「あぁ・・・ルークもその時は黙って目線を背ける以外に出来なかったからな・・・」
そのままウィルが慰めの言葉をかけると、アスベルは疲れたようにそっと肩を落とす。



「・・・そういうことなんだね、ティアがあんな風に機嫌が悪い理由は」
「・・・まぁな」
それでアスベル達とは少し離れたグループの中、クレスが同じように理由を聞いてルークはうなだれる。演技と関係無く本当に疲れたのもあり。
「・・・しかし随分と荒れていると思ったが、そんなことがあったとはな・・・」
「・・・でもなんでティアはそこまで怒ったんだ？ナナリーの言い方にカチンと来たのもあるとは思うが、そこまで険悪になる理由にならないと俺は思うんだが・・・」
（・・・確かにそうだよな・・・ティアの性格からしてあの言い方は確かに気に入らないとは思うけど、一気にあそこまでキレるのは流石にないと思うんだよなぁ・・・何か別の理由があるのか・・・？）
リオンもその空気に呆れたように声を漏らすのだが、ガイが疑問に漏らした声にルークも密かに同意しながら考える。ティアの怒りは単純な物ではないのではないかと。
「・・・どうにか出来ないでしょうか・・・」
「あ～・・・イオン様が何か言っても聞いてくれるか微妙そうですもんね～・・・訳を言うように言っても言ってくれるとも思えませんし、かと言って機嫌を良くしてもらおうとしてなんでもするなんて言ったら今の状況が変なことになりそうですもん・・・」
「多分そうじゃない？私達は消えろ辺りのこと普通に言われそうだと思うし」
「っ・・・そんなことは流石に今からでは無理だと思いますが、ティアの様子を考えると大袈裟とも言い切れませんね・・・」
そんなルークの傍らでイオンにアニスが複雑そうな顔で会話をする中、ルーティが気軽に会話に入ってくるがその気楽さに反比例した重い中身にイオンは力なく首を横に振る。否定が出来ないと。
（・・・まずいな。イオン達もティアに対する疑念が起こってきてる・・・でもそれこそ下手に動いたら最悪な可能性が待ってるだろうし・・・本当にどうしたらいいんだ・・・？）
ルークはそんな会話が耳に入ったことに考えを巡らせるが、様々な要因が入り交じってどうすべきかと決められずに悩む。










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