未知は絶望と希望をはらむ物

・・・そして翌日。



「・・・朝、か。ん、これは・・・」
周りがまだ眠る中で眠りから目を覚ましたルークは辺りを見渡していた時、枕元の紙に気付き手に取る。
(・・・ガイが俺を殺そうとしていたような感じはしなかったが、一応念の為に声をかけた・・・か。ユーリの心遣いに感謝しないとな・・・)
その紙を開き中身を確認した後ユーリが眠っているベッドを見て感謝を思った後、反対側にあるガイのベッドの方に視線を向ける。
(・・・やっぱり急がなきゃいけない、か。俺に対して何かしてくる以上に、アッシュに何かした時の方が取り返しがつかないからな・・・)
そして改めてルークは思う。ガイの行動をどうにか止める為に動かねばならないと悲し気な目を浮かべながら。












・・・そんな風に静かにだが確かな行動があったことなど他の者は知らされることなく時は進み、一同は宿を出てセントビナーの入口に集まった辻馬車の前に来た。



(・・・変ね。昨日とルークの様子が違うわ)
朝早くの為に人もルーク達に辻馬車の馭者達以外はほとんどいない入口前。そこでティアはどのように分けて辻馬車に乗るかを決める一同の中、ルークの表情が暗く落ちた物ではなく力がこもったような物になっていることに疑問を抱く。
(・・・ルークと一緒に辻馬車に乗って話を聞くべきね。どういう心境の変化を聞かないとどうなるか分からないし・・・)
だからこそティアはルークと辻馬車に乗らんと思い、ルークの方へと歩みだす。















・・・それでルーク達を乗せた辻馬車はグランコクマに向かうべく、続々とセントビナーを出発していった。



(・・・キツい・・・)
そんな辻馬車の中のルークの乗る辻馬車にて、ルークは表面上盛大に不機嫌そうに振る舞いつつ内心でげんなりしていた。その理由は・・・
(どうして俺と相乗りするって言い出したんだよ、ティア・・・それで何でかナナリーが一緒に乗るって言い出した時には二人が険悪な空気になったし・・・俺だけだったらともかく、アスベルまでここにいるのも申し訳無く感じるんだよなぁ・・・)
・・・そう、ティアとナナリーについでにアスベルがやたら険悪な状態で一緒に乗っているからである。ルークは普通に辻馬車に乗ろうと思っていたがそこにティアが一緒に乗ると言い出し、そこで何故かナナリーもまた乗ると言い出したのだがそこで一悶着ありたまたま一緒に乗ることになったアスベルが巻き込まれた・・・というわけである。尚、そう言った空気があったにも関わらず二人を離すこともなくルークと一緒に乗っているのは、その喧嘩を長引かせても何の得もないとジェイドが話をさっさとまとめたからだ。
その為、ルークの隣にいるアスベルもどうしていいか分からず苦い顔で視線を窓に向けているのだ。向かいにいる二人の険悪な空気をどうしていいか分からずに。
「・・・ルーク、少しいいかしら?」
「・・・なんだよ?」
そんな中で表情に険が残ったまま話しかけてきたティアに、ルークはそのまま何事かと問う。
「貴方、昨日まで落ち込んでいたように見えたのだけれどどうしたのかしら?いきなり調子を取り戻したように見えたのだけれど」
「(これを聞くためにティアはこっちに?・・・まぁいいか)・・・一人で色々考えた結果だっつーの。グチグチ悩んでても仕方ねぇってな」
「・・・一人で?それは本当なの?」
「何疑ってんだよ・・・だったら後でガイ達に聞けよ。別に誰にも相談してねぇってな」
「そう・・・」
(・・・なんだ?何を確認したんだ、ティアは・・・?)
そのままティアが探るように向けてきた目と問いに自然に答えるルークだが、釈然としない様子で視線を背けるその様子に逆に疑問を内心で感じる。











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