未知は絶望と希望をはらむ物

・・・ルークとアニー、二人が話し合った事でまた事態は動いた。しかし表向きは何事もなかったように時間は進み、ルークは宿へと戻った。



「・・・戻ったか、ルーク」
「あぁ」
部屋に入りガイが声をかけてきた事にルークは多少気を持ち直したと言ったよう、普通そうに振る舞う。
「戻ってきましたか・・・ちょうどいいのでこのまま駐屯所で話をしたことを報告しますよ」
「ジェイド・・・」
すると横にいたジェイドが眼鏡を押さえながら報告と言い出したことにルークは何かと視線を向ける。
「取り合えず元帥にグレン将軍には事の次第を説明しました。ダイクロフトのことはさておきとしても、アクゼリュスの消滅から戦争に繋がるとの預言については危険であることを重々に理解していただきました。その上でグランコクマに向かう為の辻馬車の手配に事情を書き記した手紙を出すようにしていただきました。一先ずは順調です」
「そうか・・・(本当に一先ず順調だけど、師匠達がどういう行動取るのか分からないから不安なんだよな・・・多分ジェイドもそう思ってるだろうし、皆もどうしようかって思ってるだろうな・・・)」
そのまま報告をするジェイドにルークは納得しつつも、内心でヴァン達の行動に危機感を抱く。
「取り合えずは報告は以上ですが、貴方は大丈夫ですか?見た所、少しは吹っ切れたように見えますが」
「・・・心配すんな。思う所が全くないっつったら嘘になるけど、いつまでも落ち込んでたってなんにもなんねぇって考えた。だから師匠に会って、ちゃんとケリをつけるまで頑張るからよ」
「そうですか・・・」
「ルーク・・・」
そんな内心など知らずジェイドはその姿についてを問い掛けるが、迷いをはらみながらも強く前を行くことを宣言する様子にジェイドだけでなくガイも複雑そうな目を向ける。
「・・・そういうことなら私は止めません。では私はアッシュ達にも事の次第を説明しに行きますので失礼します」
そしてジェイドは他の場所に行くと頭を下げてから部屋を出ていく。
「ルーク・・・本当にやるんだな?」
「もう決めたことだかんな・・・何言われたって止める気はねーぞ」
「そうか・・・」
扉が閉まりすぐにガイが決意を新たに確認に来るが、引く気はないことを強く示すルークにまた複雑そうに表情を歪める。そんな光景をクレス達は各々真剣に見つめていた。












・・・そして時間は進み、ジェイドが全員に報告を終わらせたという報告を受け取った後に朝の出発が早いということで早目に一同は就寝する事になった。



「・・・どう・・・ガイ・・・」
「いや・・・ちょっ・・・」
(・・・ん?)
・・・それで皆が寝静まってしばらくしていた時、ルークは耳に小さいながらもどこか剣呑とした響きを感じさせる声が聞こえた事に意識を眠りから浮上させる。
「・・・明日は早いんだ、トイレならさっさと済ませて寝た方がいいぞ」
「そ、そうだな・・・」
(これは、ユーリにガイの声・・・でもガイにはどこか焦りがある・・・っ、まさか、ガイが俺に何か・・・?)
目を閉じたまま耳を澄まいたルークの耳に聞こえてきたのは二人の会話だが、ガイがいやに焦ってるような声にそっとある考えが浮かぶ・・・自分に対して復讐をしようとしたのかと。
「・・・っ、ユーリ・・・」
そのままトイレに向かったのだろうガイの気配が遠ざかったのを感じて、ルークはすぐに体を起こしユーリの名を小さく漏らす。
「っ・・・!」
だが指を立てて唇に当てゆっくりと真剣な表情で首を横に振るユーリに、ルークもその意図を察して体をベッドに戻す。その光景を見届けてからユーリは顔が見える位置に頷いて自分のベッドの方に戻る。
(・・・話を聞きたいけど、今日はもう何も言わないで寝るか・・・)
そのままルークはそっと目を閉じる。今は寝ようと・・・










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