未知は絶望と希望をはらむ物

「・・・ティアについて、か・・・正直、俺はあのティアに対してどう接していいか分からない・・・今のように接してもうまくいかないのは目に見えるけど、普通にしたって何かうまく行くとも思えないんだよな・・・」
「うまくいかない、ですか・・・」
「あぁ・・・何て言うか、今のティアに関して不安しか感じないんだ・・・本人にこういうことを言ったらそんなことないみたいに返されそうな気はするけど、手放しに信用したら何かとんでもないことになりそうな気がしてそ・・・」
「・・・その気持ちは、私も分かります」
初めて明かすティアへの不安・・・ルークが苦痛を感じるように確かに明かした本音に、アニーも同じように同意を示す。
「多分ルークさんが簡単にティアさんに対して信頼を見せたり、弱音を吐くようだったらどうなるか分かりません。ですからルークさんは態度を少し戻すにしても、ティアさんに不用意に近付くのは避けた方がいいと思います」
「・・・あぁ、分かってるよ・・・それは・・・」
続けられたアニーからの危険を避けるための案にルークは空気を重くして視線を背ける。ティアに対して拭えぬ不信感と信じたいという気持ちを同時に抱いてしまう為に。
「・・・ルークさん・・・」
「なんだ、アニっ・・・!?」
アニーがまた切なそうに声を上げたことにルークはそちらを向こうとするが・・・気付いた時には自分の胸の中にアニーが体を小さく丸めながら飛び込んできた。そのことに驚きながらも地上から相当離れた木の上の為、慌てながらも落ちないようにとその体を腕で包み込んで場に留まった。
「・・・ルークさんが辛いと思う気持ちは少しは分かるつもりです。ですから私が言い出した事ですけれど忘れるようになどとは言いませんが、こういった時くらいは辛いなら辛いと言葉にしてください。じゃないと・・・こっちが辛くなってしまいます・・・」
「・・・ごめん、アニー・・・」
「こちらこそ・・・すみません・・・いきなりこんなことを・・・」
「いや、いいんだアニー・・・」
そのままアニーは話をするのだが、服の胸元の部分を掴みながら震えるように話すその姿にルークは目を閉じながら頭をゆっくり横に振った。アニーが自分を思う気持ち・・・その気持ちを存分に感じた為に拒否をする事もなく。









・・・それから数分後、気持ちを落ち着けたアニーがルークから身を離す。だがその頬は今までに抱き付いていた羞恥故か、赤く染まっていた。
「すみませんルークさん・・・」
「いや、俺は気にしてないからさ・・・まだ俺はここにいるから、先に戻ってくれよ。な?」
「はい、そうします・・・」
そのまま謝る姿に苦笑気味に先に帰るように言うルークに、アニーは気まずそうながらハシゴで下へと降りていく。
「・・・さっきはいきなり驚いたな・・・でもアニーにあんな風にまで心配させてたって思うと、せめてティアに対する踏ん切りはつけとかなきゃいけないよな・・・やっぱり・・・」
そして一人残ったルークは先程の抱き着きに関する衝撃を思い出しながらも、ティアの事についてを考え表情を曇らせる。アニーをいきなり裏切るような事をするようでもあるが、それよりもまず自身でどうにかティアについて折り合いをつかせねばいけない時期に来ている・・・その必要性を否応なしに感じてしまったために。



「・・・なんでいきなりあんなことをルークさんに・・・あぁ、恥ずかしい・・・!」
・・・一方、地上に戻ったアニーは頬を赤くしたまま足早に宿へと戻りながら自己嫌悪に陥っていた。自分で意図していなかった事を起こした事に対しての何故を唱えながら・・・








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