未知は絶望と希望をはらむ物

・・・それで再び一同はセントビナーに向かう、のだがその道中に先程までにない変化をルークは感じていた。



(・・・何か、近い・・・)
・・・その変化とは、歩く中で何故か先程と違いアドリビトムの面々の距離感が近い事である。流石に全員という程ではないが、自身の四方をメンバーに囲まれてるのはルークも違和感を感じざるを得なかった。何かやたら自分に視線を向けられているのも感じた為に。
(さっき何かあったのか?でもミュウがいるから変に聞けないし・・・はぁ、セントビナーに着くまで取り合えず待つか・・・)
心当たりはあるが、それを聞けない。ルークはひとまず気を取り直し何も感じてないフリをしながら歩いていく。


















・・・そんな風にルークが違和感を感じながらも一同は時折襲い来る魔物を退けつつ進み、セントビナーへと辿り着いた。



「・・・着きましたね、セントビナーに」
「はい・・・私は軍の駐屯地に向かいます。皆さんは宿を取って待っていてください。辻馬車を人数分手配出来るかどうかはともかくとしても、今日は周囲を気にせず休むことが重要ですからね」
「はい、ではお願いします」
入口でイオンが心なしか安堵する様子にジェイドが先頭に立ち、今日の残りの予定についてを口にしてイオンの見送りの言葉を受け駐屯地に向かい出す。
「では宿に向かいましょう」
そのままイオンの言葉に従い、一同は宿の方へと歩き出す。






・・・それで宿を取った一同だが、この時部屋割りについて多少時間を食うことになった。人数の多さもそうだが、言葉にしないがルークとアッシュの二人を一緒にさせないようにすること・・・そしてティアをどこの部屋にするかというのを。

とは言え部屋を四部屋取って男女二部屋ずつに分け、ルークとアッシュを別にして、ティアはアニスにナタリアと一緒にした上ですずにしいなにフィリアにミントという配置になった。



(・・・俺のいる部屋にはガイ、クレス、ユーリ、カロル、リオンか・・・出来るならガイにアッシュのいる部屋に行って欲しかったけど、心情的に複雑だから無理だろうしな・・・一緒にっていうのは・・・)
そして部屋に入ったルークは改めてメンバーを確認するのだが、ガイがいることで話が出来ないことを仕方無いと考える。
(・・・それは置いといて当面の問題としちゃそろそろ落ち込むフリを止めないと面倒なんだよな・・・何かするにしたって落ち込んだフリのまんまじゃガイもそうだし、ティア達も何も俺にさせてくれそうにないし・・・よし、こうなったら・・・)
「・・・俺、しばらく街の中ぶらついてくるわ」
「ん?なら俺も一緒に・・・」
「一人で考え事してぇんだ・・・オラ、お前もここにいろ。付いてくんなよ」
「・・・はいですの・・・」
「ルーク・・・」
(気を取り直した訳について考えとくか・・・とりあえずは・・・)
そのままルークは落ち込むフリを続ける事を止める為にドアの方に向かいガイを止めた後、ミュウに指を指して指示を出してから二人の複雑そうな声を受けつつ部屋を後にしていく。









・・・そして街をぶらつくでもなく真っ先にソイルの木に来たルークは上の方へと登り、一人の時間を過ごす。



「・・・ルークさん、ここにいたんですね」
「ん?アニー?」
そんな中で下から登ってきたアニーにルークは首を傾げる。
「どうしたんだ?」
「ジェイドさんが戻ってきたんですが、辻馬車の用意は明日になれば出来るようです。それでルークさんが出かけてると聞いて、探しに来たんです」
「そうか、すまないアニー」
「いえ、気にしないでください」
それで用件を聞けば伝言のためと返ってきた事にルークは笑顔を浮かべ、アニーも笑顔で返す。







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