未知は絶望と希望をはらむ物

・・・ユージーン達の意志がルークにティア達の預かり知れぬ所で固まっている。そんなことを当人であるルーク達は当然知らない訳で、何食わぬ顔で合流してきたユージーン達と共に改めてルーク達は外殻大地へと降りた。






(ようやく戻ったな・・・すごく長かった気がするけど、昨日から今まで・・・)
ルークは先に降りていて場を少し離して待機していたアッシュ達の様子を遠目に伺いながら、しみじみと感じる。濃い時間を過ごしていたと。
「・・・あっ、入口が・・・」
「すぐにグランコクマ付近に装置を動かさねば間に合わなくなりかねないからな。それにないとは思うが、他の人間にあまりこの状況を見られる訳にもいかん。だから装置は俺達が地上に降りたらすぐに撤去するように打ち合わせはしておいた」
「そうなのか・・・」
そんな中でガイが後ろの装置がゆっくり消えていった光景に声を上げるが、ユージーンの説明に複雑そうに表情を歪める。
「・・・さて、まずはセントビナーへ向かいましょう。出来ればグランコクマに直行したい所ですが、少し距離がありますし手紙だけでも先に届けた方がいいでしょう。それに万が一キムラスカが何か行動を起こしたなら、カイツールにセントビナーの兵が対応しなければなりませんからね」
「っ、私達がここにいる以上キムラスカは戦争なんてしませんわ!」
「・・・だといいのですけどね」
「・・・チッ・・・」
(うわぁ・・・ヤバいな・・・ジェイドとナタリアとアッシュがなんかキツい空気に・・・)
それでジェイドがまずセントビナーにと言い出すが、そのキムラスカが望んで戦争をしたがっていると言わんばかりの言い方にナタリアが勢いよく噛み付く。ジェイドは眼鏡を押さえそれ以上は反論しないがアッシュがあからさまに気に食わないと舌打ちする姿に、ルークは内心で頭を抱える。あからさまに険悪な空気が漂うそのやり取りに。
(出来るならこの空気をどうにかしたいけど、今の俺じゃ難しいし・・・かといってイオンはどうしていいか分からなそうだし、アニスはなんか引いた感じで見てるし、ガイはまたなんか複雑そうだし、ティアは・・・うん、今のティアにそれを期待するのはやめておいた方がいいな。今のティアが空気を無条件によく変えれるなんて思えないし・・・)
それでルークなりに空気を変えたいと思うのだが自分は出来ない事に加え、イオン達にも視線を向けながら考えを及ばせるのだが・・・ティアに至っては視線を向けた瞬間即座に諦める。今までの行動からまず無理だと。



(どうしよう・・・どうにか間に入りたいけれど、無闇にナタリアを励ました所であまり意味はないし・・・)
そんな風にルークから見られているティアはどうにか状況を打開したいと考えはするものの、意味がない行動は無駄だといった思考でナタリアに味方をしないことを決定させてる事から手詰まりに陥っていた。
「・・・とりあえずセントビナーに向かうってことにして、ダメなら歩きながら話そう。ここで立ち止まっていても何も話は進まないだろうからね」
「そうですね、そうしましょうか」
(・・・ふぅ、とりあえずはよしとしましょう)
そんな光景を見兼ねたように先に行くことを提案するクレスにジェイドが頷き、周りも反対意見を出さない様子に気に入らないという考えを一先ず横に置きティアも賛同を示す。















・・・そこからルーク達は一先ずセントビナーに向かうことになった、誰からも反対の意見が出なかったこともあり。

だが人数もあるがクレス達の腕が確かなこともあり、道中の魔物には特に苦戦も足止めもさせられることはなく順調に進んでいった。








2/21ページ
スキ