再出発の時、一方ならぬ時

「そう思った理由はあのティアがジェイド達の心を動かせるとは到底思えないからだ。むしろ今までの様子を見る限りではティアがそうすればそうするほど、ジェイド達の心は離れていくと俺は見ている。さっき俺達を隙を見て遠ざけようとしたが、結局ジェイドに反対されたようにな」
「あぁ・・・あの時は確かに空気がね・・・」
ユージーンがそう思う理由を話すのだが、先のジェイドとのやり取りと聞きカロルは苦い顔を浮かべる。場の空気が一気にピリついた瞬間を思い出し。
「おそらくティアは俺達がいない事が正しいという気持ちで俺達を拒否しようとしているんだろう。そしてその上でジェイド達と昔のようになりたいという気持ちでいる。だがもう事態はそんな所にはないし、昔のようにと思えば思うほどに不自然さが生まれるだろう。あのジェイド達はそんなことなど知らないのだからな」
「だからあのままでいいって言うんだね?それがジェイド達に通じることはなさそうだからって事で・・・」
「少なくとも俺はそう思っている」
「俺もユージーンの意見に賛成だな」
「私もです。むしろ下手に介入したならこちらにまで面倒が飛び火する可能性があると思いますから、ティアさんが自滅していくのを待つ方がいいかと」
その上で自分の考えをまとめるユージーンにカロルもそれを理解し、ウィルにすずもその考えに同意を示す。特にすずは自滅と断言する辺り、ティアの失敗にかなりの確信を抱いてるようだった。
『おそらくクレス達もどうするべきかを考えている事だろう。お前達は隙を見てその話をしてくれ。こちらもグランコクマにお前達が着くまでにはその事をロイド達に話をしておく。その時になるまでは特に問題などは起こらぬだろうし、こちらも話をまとめるだけの時間は取れるだろうからな』
「分かった、その時に頼む」
ニアタはその流れを汲んで話をここに残るメンバーとすると言い、ユージーンも一緒に行くメンバーと話をすることを了承する。
「・・・でも、大丈夫なのかな・・・そんな状況でルークは・・・」
だが一人カロルは不安に表情を染め、ルークに対する心配を口にする。今までにルークに対する対応について聞いていなかったが故に不安になったのだろう。
「それについては俺達がルークに付いていてやればいい」
「え?」
「ルークは自身も考えているようにもう下手を打つつもりはないだろうし、こちらの目論見通り大人しくならざるを得ない状況にいる。だからこそティアもどうしていいか分からずにいて行動を起こすかもしれないが、その行動から守るのが俺達の役目だ。単純な事だろう?」
「・・・うん、そうだね!難しい事かもしれないけど、僕だってルークを守りたいんだ!だから僕もやるよ!」
「その意気だ」
そんな姿にユージーンは単純に考えればいいと告げカロはその答えに満足げに頷く、ルークを守ることに対する使命感に満ちた笑顔で。ユージーンにウィルにすずはその笑顔に呼応するよう同じく笑顔で返した。同じ志を持つ者として。



・・・だが自然に目論見と呟かれたユージーンの言葉・・・この言葉が意味する物が何なのか、それは当人であるルークは知るよしもなかった・・・ユージーン達が望むようになっていることもあって・・・












新たな始まりは始まる



同時に絡み合い、激化する想い



どのように物語は加速するか、それはまだ分からない



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