「そこが勘違いという事だ。おそらくティアはジェイド達の事を無条件に信じているのだろうが、それはあくまで全ての決着をつけ終わった時の印象が元になっていて、過去はこうだったという見方はあまり適応されていないように思えた」
「・・・うん、それは何となく分かるけど・・・それがどう言ったことに繋がるの？」
「それについては他の皆とも相談という形になるが・・・俺は個人的にはティアとジェイド達を引き剥がす好機だと考えている」
「好機・・・？」
理解した様子を見て話を進めるユージーンだが、好機との言葉にカロルは首を傾げる。
「以前での事を聞く限りではバチカルから出発し、アクゼリュスから魔界に落ちてしばらくは関係も良くなかったのだろう。それは言ってみればルークが悪者という空気があったのが大きいと思うが、他のメンバーの粗に目が向かなかった所もある。そしてティアはどういった展開にするかはともかくとしても、その関係をまた築こうとして過去に戻ってきたのだろうが・・・今はルークが知識を得て大人しくしていることに加え、俺達が行動していることもあり以前のような関係など築けてはいないのだがな」
「でも、それでその引き剥がす好機っていうのに繋がる理由が・・・」
「ユージーンさんはそのまま今の微妙な関係性のまま・・・いえ、正確にはその関係性を正しい物にしようと思っている。そうではないのですか？」
「・・・確かにそうだ」
「え・・・？」
そこからジェイド達の事とティアの思惑についてを話すがカロルはまだ理解出来ずに疑問の声を向けようとした時、割り入ったすずの声にユージーンが頷きまた呆けた顔になる。
「・・・ルークの事を分かることが出来なかった俺が言える義理はないのかもしれんが、それでもルークにティア達の関係を知ったからこそ俺はその以前のようにと言った状況を許す気にはなれん」
「俺もその意見に同感だ。一人が悪者、もしくは下の立場として見られるなどという状況は望ましい物ではない」
「ただそうするにはルークさんに対するガードを施すだけでは足りません。ティアさんがジェイドさん達と一緒にルークさんの事をそういったように扱うようになれば、ただルークさんが辛いことになるだけになります」
「うん・・・多分ルークのことだもん。自分の事なんかって思って我慢するだろうし・・・」
そこでユージーンにウィルにすずと各々がルークを想うように言葉を発していく様子に、カロルも同様に思うと苦く頷く。キツい事を言われても強く言い返さず、黙るだろう姿を思いながら。
「だからこそそのような事にならないようにするため、俺はルークを悪者にしないように動きその目を別の方向に向けさせるべきだと思っているんだ・・・ガイがガルディオスと知ったならと言った事に発端するような出来事を、ルークが下だといったような前提で判断させない為にもな」
「・・・うん、ルークがそう言った目で見られないようにっていう風にユージーンがしたいのは分かった。僕もルークが悪者にならないようにっていうのは賛成する。けどそうなったらジェイド達はどうなるの？それに・・・あのティアはどう思うのかな・・・？」
そしてまとめと言わんばかりにルークの事を思うように考えを告げるユージーンにカロルも納得するが、ジェイド達にティアの事についてを問い掛ける。特にティアのことに関しては不安を感じているのか特に緊張しながらだ。
「・・・ジェイド達に関しては特に何か、と言ったようにするつもりは俺にはない。あいつらがルークの事を抜きにどう考え行動するかはあいつら自身の判断の事で、それでどういったようになるのかはあいつら自身に委ねるのが自然な事だろう。ティアに関しては・・・俺は今のままでいいと思っている」
「えっ・・・いいの・・・？」
ユージーンはその問いに確かに答えを返すのだが、ティアについてまで放置らしい答えを返してきた事にカロルは目を丸くして再度確認を向けてくる。






．