再出発の時、一方ならぬ時

「それでジェイドさんにティアさんを除いた皆さんにお聞きしますが、貴殿方はどうお考えですか?」
「それは・・・僕は、皆さんと一緒に行くことは反対ではありません・・・」
「私もかなぁ・・・」
「俺もまぁ、反対じゃないが・・・」
「むしろ貴殿方の協力がないとこちらも困りますものね・・・」
「・・・フン・・・」
ヒューバートはそこでイオン達に視線を向けてどうかと問い、最後のアッシュの気に入らないと言った声以外は一同揃って複雑そうに反対ではないと返す。
「・・・だそうだぜ、大佐さん?」
「そうですね・・・皆さんの意志が統一されているということに感謝させていただきたい気分ですよ」
「っ・・・!」
ユーリがそんな返答についての感想を問えば、明らかに当て付けとしか思えないジェイドの答えにティアは忌々しげに歯を噛む。
「・・・それじゃあ改めて聞きますが、さっき言ったような順路を僕達と共に行くことでいいですか?」
「えぇ、問題はありません。それからの事についてはピオニー陛下に報告をした後に改めてという形でよろしいですか?」
「はい、それで大丈夫です」
そんなティアに構わずクレスが行動指針について改めて問えば、ジェイドもそれまではと条件付きながら答えたことに頷いて返す。
「そこまでは決まったな・・・だがここでまだ、話をしなければならないことが残っている。それは・・・ルークとアッシュの件についてだ」
「「っ・・・」」
(来た・・・!)
今度はユージーンがその空気をまとめつつ緊迫した様子でルークとアッシュの事についてを切り出し、二人も息を呑む中でルークは覚悟を決める。



(ちょっと・・・いきなりなんなの、この人達・・・こっちの言うことを聞かないばかりか、二人の事まで・・・もしここで変にこじれるようなことになったらどうしてくれるのよ・・・!)
一方で自分が散々こき下ろされたと感じたティアはその切り出しに苛立ちの方向をユージーンに向けつつも、不機嫌そうなアッシュと未だショック覚めやる様子のないルークに視線を交互させる。
「お前達の立場からしてみれば二人共に互いに思うところはあるだろう・・・ルークはルーク、アッシュはアッシュの思うところがな。そして互いに言いたい事もだ・・・だがそんな気持ちを抑えた上でこちらからの頼みを聞いてほしい・・・色々あるとは思うが、それらを飲み込んだ上で俺達と二人一緒に旅をしてくれないか?」
「「「「!?」」」」
(何、この人・・・なんでいきなりこんなことを言い出したの・・・!?)
だがユージーンが言い出しにくそうながらも切り出した二人共の同行を願う声に、ジェイド達は一斉に驚きを浮かべ予想外の願いにティアは何故と混乱して目を泳がせる。
「・・・どうした?それほど意外な事か?」
「あ、いえ・・・何故そう思われたのかをお聞きしたいのですが・・・」
「何、簡単な事だ。二人の安全の為・・・と言うのが一番の理由になる」
「二人の安全・・・?」
ユージーンはその中でナタリアに驚きの理由について聞き、反対に質問を返されて安全の為と返す。
「話を聞いて状況から推測するに、アッシュはアクゼリュスに神託の盾の乗るタルタロスに乗って来たのだろう。そしてアクゼリュスを崩落させないようにと抜け出して来たようだが、それをいつまでもヴァンが放っておくとは思えないんだ」
「っ!?もしかして、謡将達がアッシュを探しに来ると言うのですか・・・!?」
「それもあるが、向こうにはタルタロスがある。もし神託の盾がタルタロスに乗った状態でアッシュを追い回すような事があれば、速度から見ても物量から見てもまず逃げ切れることはないだろう」
「っ・・・だからアッシュの安全の為に一緒に行こうと言っているのですか・・・?」
「そういうことだ」
(タルタロス・・・私としたことが忘れていたわ。あの時は教官達はもう使わないと乗り捨ててたけれど、今回はそうとは限らないということを・・・)
そう言い出した理由についてをタルタロスの存在だと言うユージーンにナタリアも唖然としながら理解する傍ら、ティアもタルタロスについて思い出す。今はアクゼリュスと共に魔界に落ちていないことを。







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