再出発の時、一方ならぬ時

「貴女が言っていることは貴女にとって都合のいいことでしかないばかりか、僕達に対する隠しもしない嫌悪感に満ちています。そんな人の都合のいい言い分をはいそうですか・・・と受け入れるくらいでしたら、貴殿方に協力する義理はこちらにはありません」
「っ・・・だったら貴方達はアクゼリュスの人達をどうするというのかしら?ここから出さないと言うのだとしたら貴方達の望まない預言による戦争が行われるのは目に見えたことよ」
「えぇそうでしょう。ですから貴殿方にここから出ていってもらった後に住民の方々に話をして、ここに残るか否かを聞いて地上に戻りたいと言う方をグランコクマに送って差し上げるようにします。その上でこちらはこちらで勝手に動かせていただきます・・・もう貴殿方と関わるような事に地上と交流を持つこともないままにね」
「・・・それはこちらにとっても願ってもない事よ・・・!」
「少々お待ちください・・・ティア、貴女の考えを我々・・・少なくとも私の考えと同じと思われては困ります」
「大佐・・・!?」
そのまま二人の互いの言い分を互いに挑戦的に言い出すのだが、住民は下ろした上で関わりを断つと聞いてティアが勝ち誇るような笑みを浮かべかけた時にジェイドが批難気味に厳しい制止をかけてきた事に信じられないと目を見開いた。
「・・・ティア。おそらく貴女は住民の方を地上に戻すと言った事でもう彼らとの交流は必要ないと思ったのでしょうが、このダイクロフトに本当に行き来が出来るという証明が出来ない以上はアクゼリュスの住民が少数グランコクマに来た所で、精々アクゼリュスからかろうじて逃げてきたと言った程度にしかその方々は見られませんよ」
「っ、ですがそれはこの人達がグランコクマに行くのだから大丈夫なんじゃないんですか・・・!?」
「彼が言ったのはグランコクマに住民の方を送る、と言っただけです。彼らがそこでダイクロフトの存在について証明すると言った訳ではありませんよ」
「ジェイドさんの言う通りです。それに貴殿方と縁を切るとなったならこちらはマルクトと安全に渡りをつけるための手段を失うと言うことと同義ですから、僕達は住民の方々をグランコクマ付近に降ろしてそこですぐに装置の撤収を行います。こちらに兵士を送り込まれるような事態になったなら厄介ですからね」
「だ、だったら大佐から手紙を受けとれば・・・」
「話を聞いてなかったんですか?こちらは貴殿方に利用されるだけ利用されるような立場になるのは勘弁なんですよ。それがこちらを都合のいいモノとして見るものであったり、邪魔なモノを見るようなものであったなら尚更です・・・それに何より、ここで関係が切れるような人達の命令とも取れるようなことを聞く道理などありません。それとも、自分が同じような状況になったら貴女は快くそう言った言葉に従うと言うのですか?」
「っ・・・!!」
そしてジェイドの浅はかさを責めるような言葉に何とか反論しようとするが、即座に否定を返された上にヒューバートがそれを肯定して利用されるのは嫌だと言って自分に置き換えてみるように言ったことに憎々しげに歯噛みした・・・もしアドリビトムの人間に同じような事を言われたら確実に拒否を示すと、ティア自身そう考えてしまったことを否定出来ないと言ったように。
(あ~・・・やっぱりこう言った展開になったか。ティアが言ってることってアドリビトムの皆にもだけど、ジェイドからしても今後の事を考えたら簡単に受け入れられない事の筈だろうし)
その光景を見ていたルークはやはりと内心考える、予想出来た展開だと。
(後はガイ達だけど・・・こっちも複雑そうな顔はしてるけど、ティアを庇おうとしてないところを見るとガイ達もアドリビトムの皆と一緒に行くことの方がいいって考えてるんだろうな・・・)
それでさりげなくガイ達に視線を向けると、表情を歪めつつも動こうとしない一同の姿にティアと同じ考えではないと感じる。








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