再出発の時、一方ならぬ時

『何、話を聞いてみたら直接グランコクマに行くには時間がかかるだとか連れていくには難しいだと言う話になっているのだが、時期さえ合わせればこちらで装置を動かしその近辺に住民を送ることが出来ると言いたいのだ』
「何?」
「・・・成程、我々が地上を動く間に装置を移動させれば時間は無駄にならずに済むと言いたいのですね?」
『あぁ。もし君達が一週間後まで待ってダイクロフトから降りるかもしくは別の場所に行くのならそうする必要はなくなるが、そうすると言うならここから降りた後にグランコクマに向かうルートを取ってもらうことが必要になる。ここから降りた後にセントビナーやエンゲーブなどに立ち寄り、グランコクマに行くルートを取れば一週間から二週間と言った所で辿り着くだろうから住民の安全に加えて時期もちょうどよくなるからな』
「・・・そうしないと言うならいつ住民の皆さんを地上に降ろすかと再びこのダイクロフトと連絡をつける時期について詳しく考えねばならない、という事ですか・・・これは考えどころですね・・・」
ニアタは自分が口を出してきた理由を言い、ユージーンが怪訝そうにする中でジェイドはその意図を察した上で進められた話に真剣に考え込む様子を見せる。
「・・・ちなみにこの話を聞いてこの場にいる皆様方はどうお考えになられましたか?」
「そうですね・・・こっちはその方が助かります。さっきも言いましたけどダイクロフトの行き来はそう簡単な事ではないし、住民の人達の安全が確保出来るのならその方がいいと思います」
「・・・僕もその方がいいと思います。残念ながら今の状況では僕が何かを言った所で神託の盾にモースが止まってくれるとは思えませんから、まずはマルクトに事情をお伝えした方がいいでしょうし・・・」
「・・・成程、他の方々も同じようにお思いなのですか?」
そこでジェイドは辺りを見渡しながらどう思ったかと問い掛け、クレスとイオンが両者の立場からの視点で複雑そうに同意を返す様子に改めて周りを見渡しながら問い掛ける。
(・・・今の状況ではマルクトに行って住民の人達の安全と共に、協力を願うのは必要な事ね・・・でも分かっていた事とは言え、この人達と一緒に・・・ん?)
「・・・でもそれだとしたら、貴方達は私達に付いてくる理由は無いのではないかしら?」
「・・・それは、どう言うことかな?」
「・・・っ」
その中でティアが一人忌々しいと言う考えを浮かべるが、その中でふと思い付いた考えを口にするが・・・ティアは気付かなかった。その自身が尚もクレス達を拒否しようと口にした目論見が容易に見える言葉にアドリビトムの面々もだが、ジェイドの空気も一瞬ピリついた物へと変わった事を。



(うわ・・・何でそこでそんなことを言い出すんだよ、ティア・・・折角普通に話が進んでいってるのに・・・)
そんな空気を感じたのはルークも同様で、頭を抱えたくなった。あまりにも空気を読もうとしないその有り様に。
「・・・貴方達はここにいて、グランコクマに私達が来る頃を見計らって装置で降りてくればそれでいいのではないかと言っているのよ」
「・・・それはつまり、私達に付いてくるなと言いたいのかしら?」
「アクゼリュスの人達を救助して匿ったと言うことはともかくとしても、貴方達がこれ以上私達に関わる理由などないわ。だから貴方達はアクゼリュスの人達をグランコクマに送り届けてそれで「そういうことを言うのでしたら、こちらは協力しませんしアクゼリュスの人達を地上に戻すような事はしませんよ」・・・っ!」
ティアはそんな空気に気付かず強気で返しジュディスが問い返すと悪びれもせず本音を丸出しに返そうとするが、ヒューバートが途中で口を挟んできた中身にキッと睨み付けた。自分の言うようにする気はないばかりか、反対に対処すらすると言い出した事に。







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