再出発の時、一方ならぬ時

「こちらの方針についてこれ以上の質問がないようなので、今度はこちらからの質問に答えていただいてよろしいですか?」
「なんだ?」
そんな風にルークが思う中、ジェイドが質問と言ったことにユーリが何をと問う。
「貴殿方がこのダイクロフトから地上を行き来していることはこの装置のおかげだということは実際にここに来たことでわかりますが、この装置の設置可能な場所は世界各地を問わないのですか?」
(っ、ホントに来た・・・)
そのジェイドから出た問いに静かにルークはそっと予想された物が来たことに内心驚きつつ、感心する。



「・・・出来ないこともないわけではありませんが、色々と時間が必要なんですよ。どこに装置を設置するかもそうですし、一度装置を設置した地点から遠ければ遠い場所に目標を定める程装置を動かす為に時間が。現に僕達もアクゼリュスの救助の為に装置が使えなかったからこそ、陸路に海路を経由してバチカルからアクゼリュスにまで向かったんですからね」
「・・・成程、このダイクロフト経由で各地を移動していくのはまず無理という事ですか」
その問いにヒューバートが時間の都合と共に証拠についてを口にし、ジェイドから反論が出てくることはなく眼鏡を手で押さえる。
(・・・これは吉と見るべきか凶と見るべきか・・・正直、判断がつきにくいわね・・・ナタリアの性格だったらこのままバチカルに直行だって言いかねなかったからそうなったら私が絶対に止めるつもりでいたけれど、この装置というかダイクロフトを移動手段として使えないとなると・・・あぁもう、どうなった方がよかったのかしらこの場合は・・・!?)
ティアはその話の中身についてを考えるのだが、どちらにしても一長一短があるだけにじれったいと内心で苛立ちを浮かべる。
「・・・ねぇ、ちなみに聞くけどもしここから自由に世界を移動出来るって聞いたらあんたはどういう風に動こうと思ってたんだい?」
「そうですね・・・実際には皆さんの意見を聞いてからになりますが、まず一番最初にグランコクマに向かいたいと思いました。ナタリアは心配ないと言うでしょうがいきなりバチカルに行くと言うのは流石に危険でしょうから、まずはピオニー陛下に事の次第を報告した上で指示を仰ぐのが現状でのベストだろうと私は思っています」
「成程・・・まぁマルクトの軍人のあんたからしたら当然だろうねぇ。今の状況をピオニー陛下に伝えることは」
(大佐はこう考えていた・・・でもこれは妥当と言えば妥当かしら。今の状態で私達にとって敵じゃない所なんてマルクトくらいなんだから・・・)
そこに今度はナナリーからのもしもの場合についてを問われ、ジェイドはグランコクマに行くことについてを口にしてナナリーを含め周りが納得する中でティアも内心で納得する。
「えぇ。それに加えて言うならここにいるアクゼリュスの方々を全員とは言わずとも証人として連れていきたかった物ですから、正直な事を言うとどうすればいいものかと考えているんですよ。このままでアクゼリュスに住民の方々がいない状態が続いているのであれば謡将に大詠師がどのような行動を起こすかが分かりませんから、戦争を止める為にもですが陛下から指示を早く仰ぎたいですからね」
「・・・成程、それはこちらからしても重要な事になるな。戦争が預言に詠まれているならマルクトに一刻も早く事情を説明した方がいいのだろうが・・・」
『・・・ならば住民の問題についてはこちらに任せてくれ』
「ニアタ・・・?」
ジェイドは頷きつつも住民の事が鍵になると言いユージーンもその話に苦い顔を浮かべるが、ニアタが声をかけてきたことに不思議そうに視線を向ける。










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