再出発の時、一方ならぬ時

「・・・ではしばらくしたら呼びに来る。それまで待っていてくれ」
「フン・・・」
それでユージーンは目を開け後で来ると言い、鼻で返事をするアッシュに背を向けて三人は部屋を退出していく。






・・・それでティア達にアッシュの部屋から離れた所で三人は足を止める。
「・・・やはり予想していた通りになったか」
「えぇ、予定通りと言えば予定通りですが・・・」
「・・・予想通り過ぎるのがまた、な・・・」
そしてユージーンを始めに各々声を上げていくが、その声は共通して苦さに満ちていた。
「おそらくこれからの旅では間違いなくアッシュはルークに対し、悪態をつくのをやめることはないだろう」
「その行動にジェイドさん達がどんな風に対応するか・・・以前のままに進んでいないとは言え、不安があります」
「もっと言うならガイについても不安だからな・・・アッシュに対してもそうだけど、ルークにも対応の仕方次第じゃもしもの事が有り得ると思うし・・・」
「確かにな・・・」
更に三人は不安な部分についての話をするのだが、アスベルから出たガイの行動の可能性にそっと目を閉じる。復讐を忘れていないガイがこれからの旅のルークとアッシュに対してどんな気持ちを抱き、行動に移すかで展開がどう転ぶか分からない為に。
「そちらの方は私がルークさんの所に行き、聞いてみたいと思います。今はアニーさん達から朝食を渡されてる頃でしょうから、報告ついでに聞いてみます」
「そうか。だがくれぐれもルークにこちらに不信感を持たれるような事を言うのは避けてくれ」
「はい、では失礼します」
すずはそこでルークの所に行くと言い出し、ユージーンの言葉を受けその場を後にしていく。その傍らでアスベルは何も言わずユージーンと同じようにすずを見送った、不信感という言葉を気にすることもなく。












「「「・・・」」」
「・・・(なんか居心地がキツい・・・それに視線もなんか感じる気がするし・・・)」
それて場面はルークのいる部屋に変わるのだが・・・一緒に朝食を取ると言い出したアニーにウィルにゼロスの三人と朝食を食べていたが、何処と無く沈黙した空間にルークは居心地の悪さを感じていた。




「・・・ご馳走さま」
・・・とは言え三人は特にこれと言った事をしてこなかった為に朝食は淡々と進み、ルークも三人同様食事を終える。
「・・・失礼します、ルークさん」
「あれ、すず?もう皆集まる時間なのか?」
「いえ、アッシュさんの事で同行は決まったことをお伝えしに来ました」
「そうか・・・よかった・・・」
と、すずが部屋に入ってきたことにルークは不思議な顔をするが話の中身にホッとした表情を浮かべる。
「はい。それはいいのですが一つ疑問点がユージーンさんとアスベルさんとの話で出てきましたので、ルークさんに聞きに来ました」
「疑問点?」
「ガイさんの復讐心に関しての問題です」
「!・・・それは、アッシュや俺に対してどういう行動に出るか分からないって事か?」
「そうですが・・・ルークさんもその事について考えていたのですか?」
「あ~、うんまぁ。その復讐に関してもそうだし、どうやってガルディオスにガイを戻すかって事もそうかな。今のまんまだとガイがそうだって言い出すような機会がないし、どうしようかって考えてたんだ・・・」
だがすぐにガイの事について言われた事にルークは表情を瞬時に曇らせ、すずの疑問に頭をかきながら答える。ガイについてどうするか、悩んでいることを明かすように。








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