想いの交錯にぶつけ合う心

「・・・そう聞くと僕もアッシュさん達に介入しようとすることには賛成出来ませんが、とりあえず言えることとしてはジュディスさんが戻ってきてルークさんの本音を聞かないことにはアッシュさん達には下手な介入はしない方がいいでしょうね。ルークさんの望みに沿わない展開になり得る事以上に、今の話のティアさんの状況ではハッキリと言えば危険以外の何物でもありません」
「「「「・・・っ!」」」」
ヒューバートもその会話に加わるのだが、中身を受けてエステルを含めた一同の表情が一気に凍り付く。ティアの行動でルークの未来が終わりかねない、そう聞いたことにより迂闊に動けないと苦渋の表情を浮かべて。
「・・・ま、ジュディが戻ってくんのを待とうぜ。どっちにしたってルークの事を決めるのはジュディが本音を聞いてからじゃねぇと無理なんだしな」
「・・・あぁ、そうしよう皆・・・」
その空気に表情を変えずにいたユーリがあえておどけるように声を上げるが、クレスの暗い声に周りの面々は各々浮かない表情を浮かべながら頷く以外に出来なかった・・・


















「・・・じゃあ私は行くわ、ルーク」
「うぅ・・・情けねぇ・・・」
・・・そして場は移ってルークがあてがわれた部屋になるのだが、ドアの前で衣服の乱れを整え艶笑を浮かべるジュディスに対し、ルークは上半身を裸にしながら下半身をシーツにくるみつつ顔を左手で覆う。
「・・・そんなに私と肌を合わせたことが恥なのかしら?」
「ちっ!?違うって!俺はこんなことになるって思わなかったし、その・・・男として、ちゃんと出来なかったって思って・・・」
「あら?そう言った経験がなかったと聞いたけれど、リードするつもりでいたの?」
「あ・・・!・・・いや、こういった時には女の人に恥をかかせないように男の方がリードしろって本にあったから・・・その・・・」
「フフ・・・」
ジュディスはその様子にあえて意地の悪いような言い方をしていたずらっぽく微笑むが、ルークがベッドから体を起こし顔を隠し頭を抱えながらも精一杯に紡いだ言葉に嬉しそうに微笑みながら近寄る。そして・・・
‘チュッ’
「っ!?」
「フフ・・・」
「な、なんで・・・!?」
おもむろに空いていた頬に口付けをされたことに手をどけルークはたまらず驚愕し、指で唇をなぞるジュディスに訳を問う。
「・・・ここから先は自分で考えてね。それと・・・唇の事もそうだけれど、私の事を安く見ないでね?ルーク」
「っ、んむ!?」
「・・・フフ、じゃあまた明日会いましょうね?ルーク」
だが意味深な言葉の後に今度はまた唇と唇を重ねてきた事にルークは驚きの声を口内でどもらせ、ジュディスは唇を離した後に満足そうに微笑みながら今度は本当に部屋を出ていく。
「・・・ま、また明日って・・・うわ、マジでどういう顔をして会えばいいんだよ・・・!」
それで部屋の中に一人残る形になったルークは両手で顔を覆い、羞恥心に身悶えた。今この場で起きたことを考えると、それは今までの経験に比べれば辛いことと言うには程遠いが今までの自身の経験の中に全くない出来事で自分とは全く縁の無いことと思っていた為に・・・



「・・・どうしちゃったのかしら、私・・・こんな風に感じるということは、私もそう満更ではないからなのかしら?・・・いえ、満更どころではないのかもね・・・」
対してクレス達の所に向かうジュディスなのだが、その表情はどこか満ち足りたように柔らかい物だった。自身で意外と語るように・・・















心と心、体と体



交わらぬ物はいくら交わっても交わらぬ



遠くなる想いと近付く想いが導き出す物語はどう動くのか、まだ誰にも分からない



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