想いの交錯にぶつけ合う心

「・・・でもルークがさっき話した風に考えてるんじゃないかって思うと、正直悲しい気持ちになるな・・・アッシュ達との仲直りに関してはもう見切りをつけてるんじゃないかって言うのはさ・・・」
「クレス・・・私も、そう思います・・・」
その空気の中でクレスが悲し気に歪めた表情から出た言葉に、エステルもまた悲し気にに頷く。
「まぁ俺は別におかしかなかったとは思うけどな。あのルークじゃなく元々からいたルークがルミナシアで生活してたって、あの二人を前にしてたらあぁなるだろうってのは簡単に予測がついたしよ」
「スパーダ・・・そう言えばあんたは比較的早く皆の中でもそう言った考えを持ってたわね。ジュディスが行く前にもそんなこと言ってたけど」
「まぁな」
そんな二人にスパーダが自身の考えを述べ、ルーティの声に肩をおどけたように上げる。
「一応貴族って立場の家の息子に俺は生まれたけど、それを俺が自ら望んでたかって言えば話は別だしそこでの人間関係はこうって言われて喜んだかって言うのはそれこそまた別の話だ。ベルフォルマって家の人間として生まれて、人間関係を周りに合わせて無難にこなすなんて事は俺の性格じゃ無理だった・・・だから俺は家を出てアドリビトムに来たわけだが、それは『ルーク』って存在からしたらアッシュ達に対する考えは俺と似たようなもんだったと思うんだよ。多分今のあいつだろうとそうじゃなかろうと、『ルーク』って存在からしたら無理だってな」
「・・・まぁ自分が望む環境で生まれてきたかどうかなんて考えるのは所詮自分自身でしか考えないし、それをどう感じるかは自分次第なのは確かな事じゃあるわね。その中でどう生きるかってのは自分で決めることじゃあるけれど、それで自分だけが頑張ってそれを認めるかどうかを判断出来る・・・それもハナから拒否を返すことが前提の立場の相手を前にして、更に頑張れとだけしか言わないのはハッキリ言って無責任と言っていいわね」
「だろ?・・・まぁあのルークにはその自覚はないだろうし、本来のルークがアドリビトムでのあの顔だって言うんなら不器用で言いたいことが言えねぇって所だろ・・・それでそいつを考えりゃどっちのルークでも回りくどいって部分は確かにあっただろうとは思うが、それでもアッシュに対して自分のやれることはルークなりにはやったとは俺は思う。足りなかったのは・・・アッシュ達からの歩み寄りだろ」
「っ!・・・じゃあスパーダにルーティは、アッシュ達の方が悪かったっていうんですか・・・?」
「比率的にはな」
それでスパーダが自身の考えを述べる中でルーティもスパーダ同様に経験から来る重みを多大に含ませ話をし、アッシュ達が悪いといった風にまとめる言葉にエステルがそこまで言うかと目を見開き問うが冷静にスパーダは返す。
「自分の譲れねぇものがあったからなんてのが俺達がもしルークに対しての態度を追求した場合のアッシュ達からしての言い分なんだろうが、今となってみたらアッシュ達はルークと対等の立場に立つ気どころかそんな意識すらなかったってのが正直な所だろ。現にアッシュはルークに珍しく食い下がられたって、同じ立場に立って殴らないどころか不機嫌にならないことすらなかった・・・あんま見られた光景じゃなかったのは事実じゃあるけど、それでもルークが自分から歩み寄りを見せた上でことごとくそれをアッシュは蹴飛ばしてきたんだぜ?普通に考えてもどっちが悪くねぇかなんざすぐに分かるし、ルークを責める権利なんざねぇだろ・・・散々拒否られてきてそれでも諦めず仲良しのハッピーエンドだけを目指せ、それ以外の結末なんざ望まないなんて言うような権利は俺達にはな・・・」
「っ!!」
更にアッシュ達の意識の在り方と共に実例を上げられ、最後にそれでも苦難の道を歩めと命令することは出来ないと自身も寂しそうに言う姿にエステルは二重に衝撃を受けた。











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