想いの交錯にぶつけ合う心

「・・・ふぅ、とりあえずはうまくいったと思うけど・・・後はアッシュが明日どうするかに気をつけてやれば大丈夫かな・・・」
・・・それでルークは部屋に戻りベッドに寝転がって天井を見上げながら呟くが、その表情はうまくいっているという言葉とは裏腹に悲し気に歪んでいた。
(・・・また俺は皆を騙したんだな・・・アッシュと一緒になんて言ってあぁしたけれど、俺自身にはその気はそこまでないのを言わないままあんな形で協力までしてもらって・・・俺としちゃ師匠達との決着が着いたら何とかすぐにルミナシアに帰ってほしいんだよな。じゃないとアッシュじゃなくてもキムラスカの王家に存在を拒否されたならそこからどうにか仲良くやりたいなんて根気よくやる姿を皆に見せ続けるのは正直辛いし・・・それに前のような感じで進むかわからないから、下手をすると俺の存在は王家に災いをもたらすなんていったような名目でいつ殺されるか分からない状況になりかねないしな・・・)
・・・そう言った表情になるのは皆を騙したという負い目があると共に、自分の立場がそういいものではない状況で頑張る事は辛い物とルークは考えているからである。






・・・ルークがアッシュと一緒にファブレに戻る気に強くなれない理由とはアッシュに対する遠慮もあるが、実は自分の立場が危うい事になる可能性が高いからでもあった。

ここでルークが自分の立場を守ることを第一に置いた行動をするのなら、むしろアッシュの存在は邪魔と言えた。本物という存在が現れたならレプリカの身の上であるルークを蔑ろ、もしくはヴァンが行った行動のようにアッシュの身代わりとして使われるといった可能性が高かった為に。

故にナタリアからの記憶の催促であったり周りからの目や言葉を気にせずにアッシュの存在自体を闇に葬れば、預言云々にヴァン達の問題を片付けたならルークの存命に立場の擁立はそれこそ問題は全く見えないのだ。ルークの事を脅かすような存在はもうないために。

しかしルークからすればそんな手段はもっての他であった・・・アッシュにナタリアを含めた周りが不幸どころの問題に陥るような事態は望んでいないし、第一そうであったならわざわざこんなことになるような事態にはなっていない。そんなルークだからこそアッシュをファブレに無事に戻すことが第一の目的なのだが・・・それが自分にとってどれだけ危険なのかを以前のオールドラントでの経験に加えて、ルミナシアで内緒で学を納めてきたルークは分かっていてアドリビトムの皆には黙っていた。本当の危険がまだ先にあり、それがいかに自身にとって害をもたらすのかという危険性が高いということを。






(皆には俺がこういった事を考えてるだなんて知られたくない。これから何をやるかなんてのも・・・だから俺がやれることは皆に言わなくていいことは言わないようにする事くらいだけだけど、言ったらやっぱり皆心配するのかな・・・エステル辺りはナタリアがうまくやってくれますとか言いそうだけどな・・・)
・・・自分の危機に関して自分はよく理解しているが故に、ルークはそれを皆に言えない。
ルークは申し訳ないと表情を歪める中、考えを深めていく。目を反らしたいと思いながらも、アドリビトムの面々とまだ関わらざるを得ない為に・・・


















「・・・ーク。ルーク、起きて・・・」
「・・・ん・・・(・・・あ・・・いつの間にか寝てた、のか・・・俺・・・っ・・・)!?」
・・・そんな風にしている内に朧気な中で自分の体が揺さぶられながらかかってきた声にルークは自身が寝ていた事に気付き意識を覚醒させていくのだが、ある違和感に気付いた時にパッと開いた目に信じられない光景が映っていた・・・ジュディスが自分の腹の上に跨がり、肩に手をかけ顔を突き合わせているという光景が。







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