想いの交錯にぶつけ合う心

「だってもうどう言ったってお前がすんなりと首を縦に振る姿なんて想像出来ねぇし、かといってそれでお前をこのまんまほっとくなんて事はしたくねぇしよ・・・だからもう明日になってから改めてどうするのか考えて言えよ。それでお前が俺と一緒に行くのが嫌だってんならもう好き勝手すりゃいい・・・そんでもうお前の説得なんか無理だって判断して諦めるからよ・・・」
「・・・フン、だったら考えるまでもねぇ・・・」
「あぁ、その言葉を言い切る前に言っておくけれど今すぐ拒否を示した場合もそうだけど、明日に拒否を示しても貴方が負けた事実を含めた経緯を私達から全部明かさせてもらうわ」
「何っ!?何故貴様がそんなことを言う!?」
そのままルークは疲れたように諦めを滲ませた最後確認を明日にすると言い出しアッシュは即行で拒否を返そうとした時、ジュディスからアッシュにとっての脅しにも等しい言葉が艶笑と共に告げられた事に目を見開いた。
「あら、おかしいかしら?私が貴方が同行を拒否しようとした経緯をあの子達に話すのは真っ当な行動だと思うのだけれど」
「そうですね・・・理由を聞いたらあの人達もアッシュさんが離れた事に納得すると思いますし・・・」
「・・・ま、俺としちゃお前が離れるなんて事をしなけりゃんなことをわざわざ言う気はないけどな。こっちが付いてきてほしいっつったからお前がそれに応えただけの事を、わざわざ大げさに言う必要はねぇしな」
「確かにそうだな、ユーリ・・・まぁそれも明日にどうなるかで決まるんだけどな」
「・・・っ!」
ジュディスがそんな態度は意外だとばかりに返すとアニーも頷くのだが、ユーリにスパーダとこの二人が明らかな含みを入れた言葉を向けてきた事にアッシュの顔が怒りを耐える物へと染まった。付いてこないなら言うと、明らかにそれ以外の何物でもない言葉だっただけに。
「・・・今すぐ結論を出せって言われてる訳じゃないんだ。もう今日は部屋に戻ったらどうだい?ゆっくりどうするかを考えるためにもさ」
「ぐっ・・・・・・女、さっさと元の部屋に案内しろ!」
「はいはい・・・んじゃ後でね」
そしてクレスから改めて考えるようにと向けられた声にアッシュは八つ当たり気味にしいなへと案内を言い付け、呆れ気味に返しながらクレス達へ一言残して二人で場を後にしていく。



「・・・あれで良かったのかしら、ルーク?」
「うん・・・ただ本当だったら皆が言ったことは俺が言うつもりだったんだけどな・・・」
「気にすんなよ。俺らもお前の狙いが分かったから手っ取り早いように進めようって思っただけだしな」
それで二人の姿がなくなった所でジュディスからの確認の声にルークは申し訳なさそうにし、スパーダは面白いものを見たとばかりに笑みを見せる。
「ただあれでよかったのかい?アッシュがあれで諦めるとはとても思えないんだけど・・・」
「あ~、それについては問題ないと思う。油断しないようにやれば今の俺なら今のアッシュに現段階で負けることはないのは十分分かったし、アッシュもそれを認めたくはないだろうけどそれを認めるしかないっていうのは目に見えてる。だからアッシュは不本意だって言うのは百も承知で俺達と一緒に行くって言うと思う・・・俺に負けたなんて事実をナタリアには特に知られたくないだろうからさ」
「ちなみに何かアッシュが手を打ってくるとは考えてるのか?」
「あるとしたら自分の負けは偶然だとかもう一度やれば勝てるって考えて、明日皆が見てる前で俺に勝負を挑むことだと思うけど・・・自分で言うのもなんだけど、あそこまでやって流石にもう一度やろうなんてアッシュは考えないと思う。実力差は分かる形で見せたし、何よりそこで負けたら今の二回はナタリアに言わずに誤魔化せるにしてもその一回はどうやったって誤魔化せないしさ」
「成程・・・そう言ったアッシュのプライドまで見据えた上でこう言った芝居をしたってことか。否応なしにアッシュを嵌める為にな」
「本当は誉められたもんじゃないって分かってるんだけどな・・・」
クレスはそこで大丈夫なのかと確認の問いを向けてくるが、それらは予測済みの折り込み済みと言ったルークの返答にユーリは感心の声を上げる。だがルークの表情は浮かない物だった・・・アッシュの気持ちをもてあそぶようなやり方をしていると自覚しているために。







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