想いの交錯にぶつけ合う心

「俺が逃げるだと・・・フン、だったらテメェを今すぐ殺してやるよ!そうすりゃテメェとはもう会わなくてよくなるからな!そしてナタリア達にはテメェはあの世に逃げたとでも言っておいてやるよ!泣いて感謝するんだな!」
「なんでお前に殺されてなんてやらなきゃなんねぇんだ、よっ!」
アッシュは剣を押し付けながら憎しみに満ちた笑みで殺害を堂々と予告し、ルークは剣を押し退けながら叫ぶ。そんな光景にクレス達はそっと後退して距離を取る。
「ハッ!力はそれなりのようだが、その程度で俺に勝てると思っているのか!?」
「だったらかかってこいよ!」
「言われるまでもねぇ!はあぁぁぁっ!!」
‘ゴスッ!’
「がっ・・・!?」
距離が空いたアッシュはまた嘲りを向けるがルークが知ったことではないと叫ぶ姿に、勢いよく距離を詰め斬りかかった・・・が、ルークが剣を後ろに身を引いて避けた後にすぐにステップインして拳を顔面に叩きこみアッシュはなんとも言えない声と共に吹き飛んだ。
「・・・ぐっ、まぐれ当たりがたまたま出たくらいで調子に乗るなよ屑が・・・!」
地面に倒れこんだアッシュはすぐに体を起こしまたルークの方へと走り出すが、その声には明らかな動揺が滲んでいた。
「はっ!はっ!・・・はっ!はっ!」
「・・・」
それで剣の勢いを止めずに斬りかかっていくアッシュだが、ルークは怒濤の勢いで繰り広げられる白刃の嵐を先程までの怒りを見せていた表情と違い冷静な眼差しで一つ一つを確実に避けていた。
「・・・はぁっ!」
‘ザンッ!’
「ぐぁっ!」
そしてその中の一撃を避けた後にルークは切り上げるように剣を振り抜き、アッシュの左の脇腹から右の肩にまで一直線に剣筋を刻み痛みに顔を歪ませる。
「穿破斬月襲!」
「・・・っ!」
だがルークはまだ勢いを止めず穿衝破と崩襲脚を組み合わせた奥義である穿破斬月襲を放ち、剣で突いて飛び蹴りを食らわせ殴り飛ばすというコンボにアッシュは為す術もなく吹き飛んでいく。
「く、そっ・・・!?」
「烈破掌!」
「ごっ・・・!」
‘ゴシャッ!’
「・・・終わりか」
「「「「・・・」」」」
それでもアッシュは空中で体勢を整えようと吹き飛ばされつつ受け身を取って一回転するが、距離を詰めて目の前に来ていたルークから問答無用の烈破掌を腹へと叩き込まれて壁へと叩き付けられた。そしてズルズルと壁から背中を滑らせながら地面に滑り落ちるようにアッシュが沈んでいき何もしなくなった姿にルークは終わったことを確信するが、アッシュの方に向かったアニーを除いたクレス達は複雑そうな表情を浮かべながらもルークに近付いていく。
「・・・ちょっとやり過ぎじゃないかい?」
「ちょっと待て・・・どうだ、そいつ?」
「・・・命に別状はありませんが、完全に気絶しています」
「あ~・・・やり過ぎだって思うかもしれないけど、これくらいしないとアッシュが納得しないって思ったからこうしたんだ」
「アッシュが、納得・・・?」
クレスはそんな様子を流石にと言うとルークは演技を続けたままアニーに声をかけ気絶していると返ってくると、すぐに演技を解いて頭をかきながら納得と返す。
「簡単に言うと今の自分じゃまず勝てないってアッシュに思ってもらう為だよ。これがいい勝負をして辛うじて俺が勝ったって形だったら、回復したらすぐにもう一度勝負だなんて勝負を終える度に言いかねないし、話を聞いてくれるなんて思えなかったからさ」
「まぁ確かにこいつの性格考えたらルークに負けっぱなしなんて耐えられゃしねぇだろうな。それこそ互角に近い状態だってんなら勝つまでやろうとするだろうから、勝てねぇって分からせんならこれくらいはした方が手っ取り早いな・・・アッシュが自分が負けたって嫌でも認めて納得するにはな」
「そうなのか・・・でもこうなるようにしたって言うのかい、ルークは?」
「まぁそうなるな」
ルークが納得と言った理由にスパーダもアッシュを見ながら補足すれば、クレスはそれに納得しつつもこうした展開について聞くとルークは頷く。











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