想いの交錯にぶつけ合う心

・・・そうしてルーク達が辿り着いた場は広くて戦う分には十分なスペースがあり、アッシュがしいなといた。



「・・・フン!来やがったか、屑が!」
「・・・んだよ、いきなり屑って・・・」
そして顔を合わせて開口一番屑と罵るアッシュに、ルークは弱った表情を作り精一杯の反論と言ったように返す・・・この表情はアッシュがいることを遠目で確認したルークが一瞬で作った代物だ。この辺りは本来なら事実を知ればヤケになった自分の精神状態が一回りしたらこうなるという経験則から貼り付けた表情なのだが、その変貌に5人は何事なのかと驚きつつも何とか対面までに表情を取り繕っていた。
「はっ!随分と弱ってやがるじゃねぇか!その調子じゃ事実を知ってまいってやがるようだな!」
「っ・・・あんなこと知らされて、誰が落ち着けるっつーんだよ!なんなんだよ一体!?俺が偽物でお前が本物の『ルーク』で、そしてそれを指示したのが師匠で・・・師匠が俺をアクゼリュスで住民と一緒にまとめて殺そうとしたなんて、知ってよ・・・」
「「「「っ・・・」」」」
アッシュはそれを演技などと疑うこともなくその状態を嘲るように吐き捨てると、ルークがいきなり怒りを浮かべ叫びだし次第に声をしぼませて次第に下を向く姿に対峙する二人を横から見るように移動していた6人はそっと息を呑む。演技だと知っている筈の6人でさえ圧されてしまう程の熱演に。
「ハッ!だったら屑は屑らしくメソメソしてりゃよかったじゃねぇか!一々こんな場所にまで呼び出さなくてもよ!」
「っ、そっちこそ一々屑屑うっせーんだよ!つーか俺がお前を呼び出したのは話がしたかったからだよ!」
「話だと・・・?」
アッシュはその姿に罵りを更に向けるのだが、ルークが反論と目的を告げた事に眉を寄せる。
「・・・正直、あいつらから話を聞いても俺は色んな事が信じられなかった・・・さっき言ったこともそうだし、ここがダイクロフトだなんだってあいつらの立場を言われたってだ・・・けど、そうやってキレたって一人になって色々考えてったら・・・つじつまが合うことが多かった・・・俺の記憶がいつまでも戻らない事だったり、何も知らない状態だったこと・・・そして何より、師匠が俺をレプリカって言ったあの顔のことを思い出すと・・・嘘なんかじゃないって思ってしまったんだ・・・」
「・・・だったら俺に何を聞こうってんだ?」
苦悩し、否定し、思考し、納得し・・・ここに来るまでにどれだけ思い悩んだのかとその時間の濃密さを更に絞り出すよう下を見ながらも重く口にするルークに、さしものアッシュも勢いを落とし罵倒をやめて先を促す。
「・・・俺が聞きてぇのは戻りたくないかって事だよ、バチカルにな」
「バチカルに、だと・・・何を言ってやがるこの屑が!」
「だから一々屑屑うっせーっつってんだろうが!俺は聞きてぇだけなんだよ!そうなのかどうかって事を!」
「今更戻れる訳ねぇだろうが!俺はアッシュだ!」
「戻れる訳ねぇとかじゃねぇんだよ!俺が言ってんのは戻りたいか戻りたくないかだ!父上や母上に叔父上の事もそうだし何より今ここにはナタリアだっているんだ!」
「っ、ナタリア・・・」
ルークはそこで戻りたくないかと聞くがすぐさま沸騰して怒りをぶつけてくるアッシュに自身も怒りをぶつけるように声を荒げる中、ナタリアの名を出し動揺をさせた。







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