想いの交錯にぶつけ合う心

「・・・不思議な物ね」
「え?何がだ、ジュディス?」
「こうやってルミナシアからオールドラントに来てようやく貴方の事を知れたと思ったのだけれど、貴方とアッシュを含めた彼らに同じような縁があったことよ。特にアッシュとの因縁と言ってもいいような縁があることは特にね」
「あぁ、それは確かに俺も思ってたよ」
「ただ少し疑問にも思うのだけれど・・・貴方がルミナシアに来てなかったら、本来のルミナシアのルークはどうなっていたのかしら?」
「・・・それは多分、俺がアドリビトムの中で見せてたような感じになったと思うよ」
それでふとジュディスから上がった声にルークは軽く笑いながら答えるのだが、ルミナシアの本来の『ルーク』だったならどうかという疑問の声に寂しげに表情を歪ませる。
「ジュディス達も知ってるだろうけど、ライマって他の国に比べても領土が狭くて星晶なんかの資源も少ないし王位の継承問題なんかもあってゴタゴタが多い国なんだ。ただそれもラザリスを倒した後は比較的にマシにはなったんだけど、人ってある程度までの年齢の中にいた環境で性格とか決まって余程じゃないと変えられないって言うし、王位継承問題とかに関してはまだ続いちゃいたからそこでの俺の性格ってそんなに変わってなかったと思うんだ。実際師匠にアッシュと国の外に出れはしたけどそれも国がゴタゴタしててそこまでいいって言える状況じゃなかったから、多分俺じゃなかったらそこでの『俺』は皆の前で見せてた俺のようになってたって思う・・・大きな違いは外に出れたかどうかくらいで、環境のレベルはどんぐりの背比べ程度の違いくらいだったと俺は感じたからさ」
「・・・だから貴方はそうなってた可能性が高いと思って、昔の自分のようにしようと考えたのね?」
「そうなる、な・・・」
・・・ルーク自身想うところはあったがそれでもと決断したが故の判断。そう理解せざるを得ない遠い目をルークは浮かべていた。
ライマに自身を取り巻く環境を説明をしたルークにジュディスが確認を取ると、その目になったことに少し悲し気に目を細める。
「・・・ではルークさんの予想として、自分じゃなくてルミナシアの『ルーク』さんだったらラザリスを倒した後のライマに戻った以降はどうなっていたと思いますか?」
「・・・そこから先は想像でしかないけど、きっかけが何かなかったら俺はどうにかナタリアとアッシュの二人の方がライマの王に座る方がいいって思うだけで、どうしようもなかっただろうなって感じるよ。昔の俺の性格でライマにいたならって考えるとまず何も出来ないままだったろうなって・・・それでそこからは周り次第って意味も含めて二つ可能性を上げると、一つはギャーギャー文句を言う俺を有無を言わさず王座につけてナタリアと結婚させるで、もう一つはアッシュの方が王位に相応しいってなってナタリアとの婚約も無くなるって二つのパターンだろうなって思うけど・・・俺は後の方になる可能性は低いと思ったからライマを出るって選択をしたし、後の方になっても俺なら耐えれただろうって思う・・・けれど何もない『ルーク』だったらまず間違いなく耐えきれなかったと思う。そうやって王位から追いやられたなら待ってる結末は王家の血筋を残すって名目の為、『ルーク』を守るっていう自由が全くない生活だったろうからな」
「それ、は・・・」
そのジュディスを横目に続けてすずがライマに『ルーク』がいたならというもしもの質問をするのだが、ルークから次々と出てくる仮定の予想にすずも言葉を失う・・・すずがそうなるのはルークの予想があまりにも生々しい上に的を得ていて、それでいてはっきりと単語にしていないがそうだと思わせる言葉を口にしているからだ。軟禁・・・端から聞けばそうとしか思えない言葉を。
「そうなったらもう荒れるだけ荒れて後はもう脱け殻のような生活をするって結末になったんじゃないか・・・って俺は思う。自分で言っててそんな結末は嫌だとは思うけどさ」
「いえ・・・私も正直な事を言うならそんな結末は嫌です。何を為す事もなくただ無為な日々を過ごす生活を強要されることは・・・」
そして結末はと予想をまた寂しげに口にするルークに複雑そうにすずも同意を示す。自分も嫌だと。










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