想いの交錯にぶつけ合う心

「そういうこった・・・んで、まだ何か聞きたいことはあるか?」
「あ~・・・出来れば後でアッシュと会える時間を作ってくれないか?」
「アッシュと?何をする気だ?」
「・・・アッシュに個人行動をさせないように、その時に話し合いをしたいんだけど」
「・・・は?」
「・・・言いたいことは分かる。話し合いなんて言ったけど、俺もアッシュがそうするなんて思ってないしさ」
そんな反応にユーリが次の質問はと聞くとアッシュとの話し合いをしたいと切り出し、ユーリだけでなく他の面々もキョトンとする中でルークは苦笑気味に声を漏らす。
「では何故そのような事を・・・?」
「アッシュに単独行動を取らせるのを避けるためだよ。多分明日の話が終わったらまずアッシュは俺は俺で動くとかてめぇらなんか知ったことじゃねぇって地上に戻ってすぐに俺達から離れかねないからな・・・ただ俺がそんなことは許さないなんて言ったってまず聞かないのは目に見えてるから、そこから先は誉められた手段じゃないのは分かってるけど力ずくで・・・って形だよ」
「成程、ハナからそのつもりだってことか」
フィリアがその訳について尋ねるとルークが語るその狙いについてユーリも周りも納得する。要はアッシュを留める為の建前なのだと。
「でも大丈夫なんですか?例え力ずくでもアッシュさんがルークさんの言うことを素直に聞くとはとても・・・」
「そこらへんは俺に任せてくれとしか言いようがないな・・・でもまぁあいつの性格に言いそうな事くらいは大体分かるから、そこんとこをうまく煽れば乗ってきてくれるって思ってるから大丈夫だよ」
「そうですか・・・」
しかし尚もフィリアの不安そうな声にルークは大丈夫だと笑顔で答え、まだ不安げな表情のまま声を漏らす。
「・・・ねぇ、この際だから聞いときたいんだけどルークはアッシュの事を最終的にどうしたいって思ってるんだい?そこのとこをハッキリさせないとなんか行き違いを起こしそうだしさ」
「あぁ、その事か・・・(・・・アッシュをファブレに戻せるなら俺の事は二の次なんて言うのは流石にやめとこう。そんなこと言ったらまた皆を心配させる事になるだろうしな・・・)」
そこに今度はナナリーからアッシュに関しての目的を問われルークは考える。ルミナシアの時のようにしないためにも嘘をつくと・・・そう決めた。
「・・・アッシュをファブレに戻すためだよ」
「アッシュをファブレにって・・・まさかあんた・・・!」
「ちょっと待った!・・・多分ナナリーは俺がその後でファブレを出るんじゃないかって思ってるんだろうけど、俺はそのつもりはないから」
「・・・そうなのかい?」
「あぁ・・・何もしなかったら前のようにアッシュは自分はもうファブレの人間じゃないからって、家に戻ろうとしないのは目に見えてる。父上や母上に会ってもそうだったんだから、言葉や情で何か言っても意固地になったんだ・・・だから力ずくでも俺はファブレにアッシュを戻したいんだ。二人で戻れるようさ」
「・・・でもそれって難しいんじゃないかい?その・・・今のルークの立場を考えるとさ・・・」
「言いたいことは分かる。今の俺の体はレプリカの体だ・・・事実が明らかになったら今回どうなるか俺には分からない・・・前もかなり運が良い状態だったからファブレにいることが出来たって所が大きいしさ・・・でもだからってそれで俺は諦めるつもりはないんだ。アッシュと一緒にファブレに戻れるようにするのはな」
「・・・決意は固いって事だね」
「あぁ(ごめんナナリー、それに皆・・・)」
・・・真摯に、嘘偽りなどないと思わせるようまっすぐに。
迷いを見せず自分がいかに強固な決意を持っているかを主張するように話をするルークにナナリーも重く受け取り周りも表情を固くするが、そのルークの内心は申し訳ないという気持ちで潰れそうなくらいに重かった。また皆を騙したと、その事実を思うとまた一層に・・・









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