想いの交錯にぶつけ合う心

「それで微妙な反応っぽかったのって・・・ティアのことかい?」
「あ~・・・まぁ今さら隠す事じゃないけど、そうだな・・・」
次にしいなが言いにくそうにティアの事を切り出すと、ルークが頭をかきながら肯定する。
「何て言うかその、ティアはそこまで意固地じゃなかったと思うんだよな・・・言いたいことは言う性格じゃあったけど、そんな反対ばっかりするような感じじゃなかったと思うんだけど・・・今聞いた話でもそうだけど、あのティアだとこのままじゃ協力を頼んでも皆や俺の言うことに賛成してくれるかどうか・・・」
そのままティアに対する不安を口にするルークは下を向くが・・・そこでティアの事実を聞いてるはずのアドリビトムメンバーは答えを言うことはなく、各々表情を歪ませる。



・・・ここでアドリビトムの面々が何故ルークにティアの事実を伝えないかと言えば、それがルークにとっていい結果をもたらすとは考えられないとメンバーの多数が考えたからだ。

もしティアの事をルークに明かしたとしたなら、様々に複雑な気持ちはあれどもルークはそのティアの気持ちを尊重する可能性は高いだろう。何だかんだ言いはしてもルークの事を求めてティアは過去にまで戻ってきたのだから、絆される可能性は十分に有り得る。

だがそれがどういった結果を生むのかというのはその多数が危惧し、先のセントビナーの件でそうなる事は確実であると確信した・・・ティアの想いにルークは絡め取られる形でずっと共にいさせられることを強制され、思うままに動くことが全く出来ない状態になり得ると。

本当ならその事実を言った上でティアに対しての態度を考えてもらう方がいいとアドリビトムメンバーは考えた・・・だがその事実を明かした上でこちらに合わせるように言ったなら、その気になれば誰でも人を騙せる演技力でルークは辛い事を押し隠した上で頷くだろうと予想出来た。それはルークを助けるためにオールドラントに来た事を覆すとまではいかずとも、その意味を少なからず汚すに等しい行動だとも。

・・・だからこそアドリビトムメンバーはルークには何も言わずに進めることにしたのだ。ティアの考えを言わないようにして、その結果ティアが何を言っても不自然なフォローはせずにティア自身の責任として済ませようと・・・



「・・・なぁ、皆はどうするつもりなんだ?ティアもそうだけど、皆の事を拒否とかされたりしたらさ・・・」
「それか?・・・まぁ何だかんだ言いはするだろうが、こっちの言うことを全部が全部拒否は出来ないと思うぞ。流石にあのティアでもな」
「え・・・どういうことだ?」
そしてルークは改めて向き直ってどうするかと聞くと、ユーリが大した問題でもないと言ったように返した事にキョトンとなる。
「理由として言うと僕達がアクゼリュスの人達を保護してることが大きいからですよ・・・確かにあのティアさんは僕らの事を否定して、同行などを言い出しても拒否をするでしょう。ですがそれをしてしまえば僕らとの繋がりが消えてしまうとジェイドさん辺りが黙らせると思います。何故ならアクゼリュスの人達が今いる場所がダイクロフトだなんて証明をする事は出来ませんしね。自分が見てきたし行ってきたからなんて言ったところで、頭がおかしくなったと言われるのがオチですからね。その点で僕達と無条件ではいサヨナラ、なんて状況にはジェイドさんはしないと見ています」
「あぁ・・・まぁ実際に俺も今ダイクロフトにいるなんて信じにくいしな。そう考えるとジェイドが皆とこれで終わり、なんて認めるとは思えないよな・・・あのティアもそう言われたら納得せざるを得ないだろうし・・・」
ヒューバートが引き継いでそうなるだろう推測を述べるとルークもすぐに納得して頷く。ティアに反対されてもジェイドがアドリビトムメンバーを切り離す判断をするとは思えないと感じて。








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