「・・・しかし、謡将がそのようなことを考えていたとは・・・それにモースも預言の事を知っていたとなれば、アクゼリュス行きは戦争を引き起こす為となりますが・・・」
「・・・正直、色んな事が起こりすぎて何がなんだかわかんないですよぅ・・・大佐ぁ・・・」
（あっ・・・大佐にアニスもまいってる・・・そうね、いくらなんでも少し出てくる情報が多すぎたかしら・・・）
しかしジェイドとアニスの何とも言えないといった様子の声にはすぐにティアは考えを翻す。言っていることはユーリ達と何ら変わりはないと言うのに。
「・・・なぁ、ルークはどこにいるんだ？」
「・・・えっと、どうしたんだい急に？」
その中でガイがふと上げたルークの場所を問う声に、クレスが訳を問う。
「いや、色々話をしてて思ったんだがこの事はルークは知らないんだろう？だから説明が必要なんじゃないかと思ってな・・・」
「成程、そういうことか・・・」
（そうね、ガイの言うとおりだわ。そろそろいい加減ルークにも話をしてもらわないと・・・レプリカの事実を・・・そしてルークには変わってもらう・・・わがままじゃないルークへと・・・！）
それでガイが自身もまいったという様子ながらルークにも話をと言い出し、クレスも頷く中でティアも内心で喜色を浮かべる。ルークが変わってくれる最大の機会が来たと。
『・・・すまない、少しいいか？』
「ニアタ・・・どうしたんだい？」
「なっ・・・なんだ、その譜業は・・・！？」
そんな場にアドリビトムメンバーの後ろから現れてきたニアタにクレスが応対するが、その譜業としてあまりにも異質な存在にガイが興奮気味に声を漏らす。
「ニアタはこのダイクロフトの管理人みたいな存在さ。とは言ってもこの数年で目覚めて昔の事は覚えてないらしいんだけどね」
「それと先に言っておきますが、ニアタを手に取りたいだとか解体したいだなんて事はこちらは許しませんよ。貴方の様子から見てニアタに興味津々なのはすぐに分かりますが下手に手を出されては創世歴時代に造られたニアタを直すことは難しいですし、彼は僕らの仲間にあたる存在ですからね」
「うっ・・・わ、わかったよ・・・」
クレスがその問いにニアタの事を紹介するが、続いたヒューバートの鋭い視線からの牽制に言葉を詰まらせながら頷く。実際手に取って解体したいと思っていたのがまるわかりである。
「それで、どうしたんだいニアタ？」
『あぁ、途中から話を聞いていたのだが少し提案があってな・・・それは今日はこのくらいにして、後は時間を取ってはどうかと言いに来たんだ』
「えっ、それはどうして？」
『いや、少しルークの様子を伺ってきたのだがまだ混乱しているといった様子だったのでな・・・それでこちらに報告に来たらこちらもこちらで重大な話がされていたので、この辺りで一度時間が必要なのではと思ったのだ。考えをまとめるための時間がな』
「「「「・・・」」」」
そして改めてクレスがニアタにどうしたのかと問うと時間を取ることを訳と共に提案してきたことに一人を除き、一同が各々考え込むように黙りこむ。実際にそうすることが必要だと言わんばかりに。
「・・・フン、考える時間だと？俺にはそんなもん必要ねぇからさっさと元の場所に戻しやがれ！」
だが例外の一人であるアッシュはすぐさまに威勢を戻して返せと言い出す。もう用はないというように。
『生憎だがそれは出来ない』
「んだと・・・！？」
『落ち着け。理由はいくつかあるが、まず今アクゼリュスに置いたこちらとあちらを行き来する装置は撤収してある。もし万が一ヴァン達がアクゼリュスに戻ってきた場合を仮定してこちらに入ってくるような事がないようにな。そして下手にまた出入口となるあの装置をアクゼリュスに置けばヴァン達と鉢合わせしかねん・・・その上であの装置は場所を変えて設置することも可能だが、その場合夜を越えるくらいには時間が必要になる。安全な場所に装置を設置するにはな・・・そこで聞くがアッシュ。今のお前はヴァンに対し敵対ないしそれに準じた行動を取ったのは今までの流れで分かるが、そんなヴァンの元にノコノコ行けると思うか？』
「・・・チッ、要は明日になるまで待てということか・・・しょうがねぇ、待ってやるよ」
しかしニアタから拒否を返されキレかけたアッシュだが、そうしない方がいいとする理由を詳細に語られて尚行きたいかと問われると不本意そうに機嫌を悪くしながらそっぽを向く・・・いかに沸点が低く周りが見えにくいアッシュとて、自分が不利に晒される状態になるのは流石に避けたかったようだ。











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