焔も想像しなかった行動達

「ま、こっちが何も言わなかったのは確かに事実さ。そいつに関しちゃ認めるよ・・・けどあんたは言いたくないでずっと通してて全く何を隠してるのか言わなかったじゃないか。なのにそれを気にしないで発言したあんたにあたし達はともかく導師達に信頼があるなんて思ってたのかい?」
「なっ・・・う、嘘ですよねイオン様・・・そんなこと・・・?」
「・・・僕もこのようなことは言いたくはありませんが言わせていただきます。貴女が頑なにヴァンを襲った理由を言わないようにとしていたのは何か事情があってというのは察することが出来ます・・・ですが今ナナリーさんが言ったようにそれを全く考えないばかりか皆さんの事を一方的に信用出来ないというのは、流石にどうなのかと僕も思いました・・・」
「!!」
更に続けるナナリーにティアが不信があることを否定してほしいとすがりつくようにイオンに問い掛けるが、これまでの旅の事もあって非常に気まずげにだが同調するように頷かれた事に愕然と表情を崩した。
「・・・確かにそうですねぇ。彼らが信用するに値するかしないかはともかくとしても、ティアが何も言わなかった事実に代わりはありませんからね」
「あ~・・・ちょっと否定出来ないかな、これは・・・」
「・・・っ!(ちょっと、大佐にアニスまで!?・・・ガイにナタリアにアッシュはまだ何も言ってないけど、三人も微妙そうな表情をしてる・・・!)」
更にジェイドが同調の声を上げアニスも言いにくそうに同調した事でティアは残りの自分が味方と思う面子を見てまずいと感じる。
「(・・・もういいわ!もう兄さんもルークの事を操ろうとした事実は出てきたことだし、この人達には聞かせたくなかったことだけど・・・!)・・・待ってください!話します、私が兄さんを襲った訳を!」
「え・・・話すというのですか、ティア?」
「はい!もう兄さんは行動をしてしまいました!ですから言わせていただきます!もう黙っていても意味はありませんから!」
それで半ばヤケになったような考えの中から話すと叫ぶティアにイオンは意外そうに視線を向け、冷静さの欠片もなく声を荒らげながら宣言する。






・・・それから少しの時間、ティアは皆に向けて説明をした。今の自分の立場を感じた上で以前より詳しく自分がヴァンの何を見てきたのか、ヴァンが何を企ててたのかを少なからず知り疑っていたことを。
「・・・というわけで、私は兄さんを襲ったんです。兄さんが本気かどうか、それが分からなくて確認したく・・・」
「そう、だったんですか・・・」
(よし、イオン様はこれで私の方を信頼してくれるようになったわ・・・)
そして話が終わり複雑そうな表情で声を漏らすイオンを見てティアは内心成功だとほくそ笑み、アドリビトムメンバーの方に視線を向ける。
(ガイ達も私に納得してくれるとしても、後はこの人達ね・・・この人達の事だから私の言うことに一つ一つ反対しそうだけれど・・・)
更に内心でガイ達も当然自分の味方と思いながらもアドリビトムメンバーを警戒混じりの視線でティアは見据える、どういった反応をするのかと。
「・・・ねぇユーリ・・・まさかこんなことだったなんて僕、思わなかったんだけど・・・」
「・・・俺もそう思ってた所だ。神託の盾が何か企んじゃいるってのはわかっちゃいたが、まさかここまでとはな・・・」
「・・・難しい所ですね、これは。正直に言えば時間が欲しい所です。こちらの総意をまとめるためにもね・・・」
(・・・と思ったけど、拍子抜けね。考えの統一が出来てないじゃない)
そんな目で見られるアドリビトムメンバーだが、その反応は各々何とも言えないと声を漏らす物。ティアは内心で鼻を鳴らすよう、その光景を見ていた。







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