焔も想像しなかった行動達

「そうですわ・・・それに何故貴方がルークと瓜二つの姿をしているのかも・・・」
「・・・ナタリア・・・」
その声にナタリアも続いて声を上げるが、複雑でいて戸惑っているといった声と顔を見てアッシュも少し顔をうつむかせて名前を呟く。
「・・・いいだろう、教えてやる・・・簡単に言えば今別の場所にいやがるあの屑はヴァンが造らせた俺の模造品、すなわちレプリカだ」
「「「「っ!?」」」」
「レ、レプリカ・・・!?何の事を言っているのですか・・・!?」
「・・・あの屑はヴァンが表向きは預言通りに行っていると見せ掛ける為に造られた偽物だ。さっきの預言の中身に沿わせたように見せ掛ける為のな」
「っ!・・・で、ではその言葉が本当なら・・・本当の『ルーク』は貴方、と言うことなのですか・・・!?」
「・・・そうだ」
「!!」
・・・以前はルークの前だったからこそ罵倒混じりの上から目線の暴露だったが、今度はルークもいない上にナタリア相手だからかその言葉は静かだった。
アッシュは意を決したように顔を上げるとルークが自身のレプリカであることと共に自分が本物の『ルーク』であることを明かし、周りが驚く中でまっすぐに自身を見られながら確かに頷かれたナタリアは・・・涙を瞬時に溢れさせていた。
「何故・・・そのようなことになったのですか・・・私はルークがいつ記憶が戻るか待っていたと言うのに・・・!」
「それは・・・今言ったが、ヴァンが俺とあの屑を入れ替えたからだ。それで俺はファブレに戻ることが出来ずにいたんだ・・・」
「っ・・・あのルークの、せいだと言うのですか・・・!?」
「そう「んなわけないじゃないか」・・・何?」
そのままに何故と悲しく嘆く声を上げる姿にアッシュはルークの事を言いにくそうに切り出し、ナタリアが目を見開く様子にすぐ頷きかける・・・が、しいなが怒りを滲ませる形で口を挟んできたことに何をと目を向ける。
「話を聞いてて思ったけど、ルークに悪い所なんてないじゃないか・・・ルークはただファブレに送られてきただけだろ」
「えぇ、しいなさんの言う通りだと思います」
「んだと・・・!?」
そのままその考えを批難するように声を上げるしいなにすずも頷き、アッシュは苛立ちに任せて剣に手をかける。
「やめろ、アッシュ。冷静になれ」
「テメェに指図されるいわれはねぇ!この獣野郎が!」
「・・・ならばこの場にいる俺達全員を相手にするか?」
「何・・・っ!?」
すかさずユージーンがアッシュの前に入って止めに入るが、すぐに暴言を吐き再び剣を抜こうとする・・・が、ユージーンが冷たく低く落とした声を上げたことにアッシュが周りを見ると三人も含めたアドリビトムメンバーが険しい空気をまとっていた事に気付きたまらず体を引かせた。
「・・・こちらの仲間を攻撃しようとするお前をそのまま放置すると思うか?それに俺達はここで争う為にお前達を呼んだわけではない・・・それでも尚剣を抜くというのであれば、こちらも相応の対処をさせてもらうぞ」
「っ・・・チッ・・・」
ユージーンはそのまま暴れるなら容赦しないと意味深に言い含めれば、周りを見渡した後仕方ないと言わんばかりに舌打ちをしてから剣から手をどける。



(流石にアッシュでもこの状況では下手に暴れられないと思ったようね・・・よかったわ、人数で押し切られたら私もどうしようもなかったかもしれないし・・・)
その光景を端から見ていたティアはそっと安堵する。戦いにならなかったことに。
(でもこんな形でアッシュからルークがレプリカだってバラされたけれど、大丈夫なのかしら・・・これで・・・?)
だが一方で不安に感じることもあった。アッシュからの事実の暴露の形がこんな形でいいのかと。






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