焔も想像しなかった行動達

「ちょっとアッシュ!どういうことそれって!?」
「・・・お前らがどういう風な預言を聞かされたかは知らねぇが、大体モースのやりそうなことくらいは分かる。大方炭鉱の街に行くって所までは聞かされてただろうが、その続きの預言にはこんな風に詠まれていたそうだ・・・聖なる焔の光が炭鉱の町と共に消滅し、キムラスカとマルクトの戦争が始まる・・・と言った預言がな。そしてヴァンはそれを確実にするためにモースから派遣された実行者だ」
「「「「!」」」」
アニスはそんなの信じられないと言わんばかりにアッシュに慌てて確認を取ると、言いたくないといった気持ちを露骨に浮かべながらも静かに肯定を返しジェイド達もその答えに驚愕を浮かべた。
「・・・実際に預言の中身を聞くのは初めてではありますが、大方そのような物だろうくらいは思っていましたよ。今のアクゼリュスの状態で何かいいことが起こるはずもないし、神託の盾がコソコソとアクゼリュスの様子を確認しに来ていた事から見てもね」
「っ・・・神託の盾が様子を確認しにって、どういうことなの・・・?」
しかしヒューバートはむしろ当然と言わんばかりに話を平然と続けるが、初めて聞く話題にたまらずティアは疑惑の目で神託の盾の事について問い掛ける。
「アクゼリュスに障気が蔓延する前後にちらほらと神託の盾の者らしき人の姿があったと住民の方から聞いたんですよ。まぁ完全に障気がアクゼリュスを包む頃には神託の盾の姿も無くなっていたそうですから、おそらく障気の危険性に気付いたと共に謡将にでも報告していたんでしょうね。障気が預言を実行に移すきっかけとして相応しい物であることを」
「それで私達もダイクロフトにアクゼリュスの人達を移そうって決めたわけよ・・・預言が大事ってだけで犠牲になる人の事を全く考えちゃいない神託の盾や、ダアトの手から守るためにもってね」
「「「・・・っ!」」」
その問い掛けにヒューバートにルーティと話の流れを引き継ぎながら経緯を話すのだが、二人とも・・・特にルーティが呆れを大いに抱いてるとばかりに肩を上げながら吐き捨てた言葉に、ダアト所属の三人が一斉に息を呑んだ。今まである程度好意的に接してきてくれたはずのアドリビトムメンバーから、ダアトに神託の盾の悪印象しかない事実を聞かされた為に。



(イオン様・・・アニス・・・辛いわね、こんな形で預言の事実に向き合わねばならないなんて・・・でも神託の盾がそんな形でアクゼリュスの事を確認しに来てたなんて・・・考えてもいなかったわ・・・)
・・・だがティアの心中はイオンとアニスの二人と違い、その二人への同情と同時に話の中身へと気が行っていた。初めてアクゼリュス側の住民からもたらされた情報に。
(・・・兄さん達がそうしていたのは機を伺っていたからだとは思うけれど・・・正直あまり気に入らないわね・・・こんな物があってこんな人達がいたから、アクゼリュスの人達が助かることになったなんてっ・・・)
それでティアは考えるのだが・・・その中身は尚もまたアドリビトムに対しての不信感、もっと言うなら嫌悪に満ちていた。アクゼリュスの住民が助かったことを純粋に喜ぶことなく・・・



「・・・フン、まさかそんな事でヴァンの計画が狂いやがるとはな・・・」
「計画・・・とは穏やかではありませんねぇ。その言い方では預言とは別の何かのように思うのですが、貴方は何を知っているのでしょうか・・・?」
そんなティアの内心など察知することなくアッシュはヴァンを侮辱するように口元を笑ませるが、ジェイドはその口振りに油断ない視線を向けて問い掛ける。真意の程を是非とも聞かんとして。







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