焔も想像しなかった行動達

『・・・分かった、アッシュの事は引き止めはしよう。どちらにせよティア達も含めてすぐに地上に戻すつもりはないから、その流れの中で今日はここに留まるようにと告げる事になるだろうがな』
「今日はって、どうして今日にティア達を戻すつもりはないんだ?」
『彼らに納得の為の時間を与えると共に、ダイクロフトのことを認知してもらう為だ。その為に説明の後にこのダイクロフトを回ってもらい、今日はここに泊まるようにと言う手筈になっている。もし誰かが反対した場合には地上に戻るための装置は明日まで起動させるつもりはないと、そう告げる予定上でな・・・因みに装置の制御室についてはこのダイクロフトが遠大な大きさを誇ることもあり、まず辿り着けない事に加え操作も出来ないだろうから安心していい』
「そうなんだ・・・」
ニアタはそこで了承の声を返しつつティア達を帰さない訳と共にまず帰れないだろうと言い、ルークはそのスケールに何とも言えない声を上げる。
『話は済んだな?・・・ではルークはしばらく休憩してるといい。私はクレス達に今の事を伝えに行ってくる』
「あぁ・・・っ、うぉっ・・・」
「・・・ルーク、本当に久しぶりだよな・・・」
「はい、ロイドの言う通りです・・・」
「ロイド・・・エステル・・・本当に、ごめん・・・二人だけでなく、皆も・・・」
ニアタが話が終わったと見て場を離れる姿にルークは頷くのだが、再び自分の胸に飛び込んできたロイドとエステルに体を揺らす。だが先程と違い泣きそうな声を漏らす二人に、ルークも罪悪感により表情を申し訳無さそうに歪める。二人が自分を想ってくれているのがその行動だけで分かるだけに。












・・・その一方で別の場所に連れていかれたティア達へと場面は移る。



「・・・ここが、そんな場所だったなんて・・・預言に見捨てられた人々が集まる場所とは・・・」
「あんたらダアトの人間からすりゃ信じられねぇ事だろうな・・・だがこいつは事実だ。ここの住民達の素性はな」
・・・一通りダイクロフトの住民達の事を説明されたティア達。
イオンはその話の中身に愕然として顔色を更に青くするが、ユーリは嘘ではないと普通に返す。
「・・・正直、貴殿方が言っていることを全て信じる事はまだ私には出来ません。流石にダイクロフトに来たというだけで全部信じろというのは無理があります」
「へぇ・・・じゃあ何を言ったら信じてくれるんだい?」
「そうですね・・・ではまず何故貴殿方がアクゼリュスの救助に取り掛かったのか説明してはいただけないでしょうか?預言の犠牲者だと言うのが本当だとして、それで貴殿方が行動する理由には繋がらない筈ですけどねぇ・・・」
次にジェイドがあからさまに疑惑があると明かしユーリが笑みを浮かべ何が必要かを聞けば、救助に取り掛かった理由を言えと眼鏡を押さえながら丁寧な言葉の端にトゲを浮かべる。
「・・・そこについてはこちらも正確に預言がこういった中身であると把握している訳ではありません。ですが我々の中での共通の認識として惑星預言と呼ばれる預言が詠まれる時には決まって大きな戦争があったり、その前後にまず間違いなく神託の盾の介入があると言う事実があります」
「っ、ちょっと!何て事を言うのよ!神託の盾がそんなことをするわけないじゃん!」
「ならば一つ、ここでアッシュに質問しますが・・・貴方がアクゼリュスに来たのは何か預言に関することがあってではありませんか?貴方と謡将の様子から見て、預言に関して何らかの関連性があることは否定出来ないと思うのですが違いますか?」
「えっ・・・?」
その質問にヒューバートがユーリからバトンタッチするように話を受け継いで話をするのだが、神託の盾に対しての侮辱と受け取ったアニスが一歩前に出て怒りながら噛み付いてくる。だが意に介した様子を見せずアッシュに意見を求めるヒューバートの言葉に、アニスだけでなくイオン達も一気に視線を集中させる。
「・・・そいつの言ったことは間違っちゃいねぇ。事実アクゼリュスは・・・消滅することになると、預言に詠まれていたとのことだ」
「「「「!?」」」」
その視線にアッシュは気に入らないと言わんばかりに表情を厳めしく歪めていたが、否定は意味がないと思ったのかヒューバートの言葉を肯定しアニス達を一斉に驚愕させた・・・アクゼリュスが消滅すると聞いたことで。






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