焔と予想外の想いが絡まる始まり

「・・・いよいよ、か・・・」
・・・ルミナシアから再び戻ってきて再度あてがわれた『ルーク』の部屋の中。ティアが今日に来ることを知っていたこともあって、以前より朝早くから起きていたルークは窓から空を眺めていた。決意を込めた表情で。
「・・・本当にそんな変化ないんだよな、この世界・・・ダイクロフトなんて妙な物は浮かんでてもそんな何か変わったって様子もないし、別にエルフとかガジュマとかの他種族に屋敷にいるから会うわけでもない上にそんな変な事も起きないし・・・ただ妙なって言ったらそもそもダイクロフトが誰が作ったのかなんて記録がないことなんだよな・・・セフィロトがあるわけでもないし外殻大地以上の高さで浮かんでるし・・・」
だがふとルークは改めて前との違いを口にし、首を傾げる。一体何事があってこんなことになっているのかと。



・・・この7年、自分を鍛えることに加えて改めてこのオールドラントについての勉強も密かにしていたルークだが、やはり他種族の件やダイクロフトについては何故そうなったのかわからずにいた。

それでもなんとか知り得た事と言えば他種族の総数はそこまでなく各地にバラけている事で、どこに他種族の集落があるのか分からないという事くらいだった。一説にはダイクロフトから来ているのではないかと言われているが、結局その答えを誰も知らないままだということらしい。その他種族はけして自分達がどこから来たのか語らず、どこに集落があるかも分からずにいた為・・・



「・・・まぁいいや。どっちにしたって俺のやることには変わりはないんだ・・・アッシュをファブレに戻して、俺もどうにか自分の位置を見つけて済ませれるようにするって目的はな・・・」
しかしとルークは再び真剣な表情で意志を新たにする、初志貫徹することに偽りはないのだと。



・・・今回再びオールドラントに戻ってくるに辺り、ルークが掲げた目標はアッシュをファブレに戻すことに加え、自身の立場をキムラスカ内で確立する事だった。ただこれは自身の意思というよりローレライが切にちゃんとした生き方をして欲しいと願ったからであり、ルークは別に最低限生きていければそれでいいと思っていた為、それほど高い地位にこだわりがあるわけではない。故にあくまでローレライの願いを受けたからこそルークはファブレとしてだけでなく、自身の働きで功を立てて自分の生活を成り立たせるようにしようと考えていた。例え対外的な示しをつけるためとは言え、以前のように爵位とまでいかずとも地位をもらうくらいの活躍をする事で。

・・・尚ルークは今の時点でけしてアッシュは自身を認めようとしないだろうことから、力ずくで叩きのめしてからファブレに連れ帰ろうと以前になかったワイルド極まりない事を考えていた。ただこれは素直に帰りたいと言わず、ルークを認めようとしないアッシュのことを考えての事である。あくまでルークはアッシュのことを嫌ってない、とだけ言っておこう・・・そしてルークの優先順位はあくまでアッシュ達を救うことが先であって、自身の優先順位は低く考えているということを・・・



(これでうまく行けば御の字だけど、まぁ失敗してもなんとかなるっていうか・・・何とかしていくさ。ローレライには悪いけどな)
ただ、とルークは独り言をやめ微笑を浮かべつつ心中で失敗してもいいと述べる。



・・・以前のオールドラントにルミナシアで生きてきた経験を経て、ルークには是が非でも貴族での生活にこだわるような気持ちはなかった。でなければルミナシアにいた時にアッシュ達の為とは言えライマからわざわざ抜け出し、1人で生きていこうとまで考える気にはならない。

故にルークは自分の地位については二の次程度に考えるつもりでいた。ローレライに悪いと思いながら(現にライマから出た時も以前のオールドラントでの経験を活かして、王族では身に付けないような料理の腕やサバイバルの知識などにも内緒で知識に経験を蓄えていった。その知識があれば一人でも生きていけるという程に)・・・







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