焔も想像しなかった行動達

「ルーク!良かったです!やっと会えた・・・!」
「本当だぜ!会えるんならもっと早くに会いに行きたかったんだぞ、俺達!」
「・・・ごめんエステル、ロイド・・・お前達にこんなことさせて・・・」
その二人が喜色満面に嬉しいと言葉を向けてくる姿に、ルークは逆に複雑そうに表情を歪めて声を上げる。
「はっ、本当にしおらしくなっちまってんな。これがあのルーク様だってんだから驚きだぜ」
「スパーダ・・・それに他の皆も・・・」
そこに二人の後ろからスパーダが皮肉な笑みを浮かべて声をかけてきたことに、ルークが視線を向けるとゼロスとジェイを除いて地上で顔を合わせていないアドリビトムのメンバーがそこにいた。
「はいはい、感動の再会はここまでにしとこうぜお二人さん。今はルーク君に事情を説明すんのが先でしょ」
「ゼロス・・・うん、そうだな」
「ごめんなさいルーク・・・ちょっと嬉しくなっちゃってはしゃいでしまいました」
ゼロスがその空気の中でロイドとエステルへと声をかけ、二人は少し名残惜しそうにルークからその身を離す。
「いや、それは俺が悪いからいいんだけど・・・説明って・・・」
「まぁ色々あるんだけど、まずこのダイクロフトは俺様達が所有する物・・・そしてニアタが主導の元で過去のオールドラントで造り上げた物だってことなのよ」
「えっ!?ニアタが主導で過去のオールドラントって、どういう事だよ・・・!?」
ルークは別にいいと言いつつ話を聞こうとするが、ゼロスから気楽に告げられたまさかの中身に一気に目を剥いて驚愕した。ダイクロフトが自分の仲間により過去に造られていたという事に。
『それは私から説明しよう』
「っ・・・ニアタ、お前も来ていたのか・・・」
『あぁ、そうだ』
更にニアタが部屋の奥から以前と変わらぬよう浮いて自身の前に来たことにルークはまた目を見開く。
「どういう事だよ、過去に造ったって・・・なんでこんなものを・・・?」
『最初から全部を説明すると時間がかかるのでかいつまんで話すが、預言によりダアトに見捨てられた者・・・このアクゼリュスの一件で死ぬとされていたような者達の受け皿を作るためだ』
「えっ・・・受け皿って・・・?」
『漆黒の翼のようにホドが滅んだ際、自分達の出自を隠して生きる者達がいるのはお前も聞いただろうルーク。だがそう言った風に割り切れる生き方を出来る者もいれば、そのような生き方が出来ない者もいる・・・だからこそこのダイクロフトにはそう言った者達を助ける為に皆と協議した上で作ったのだ。残りの余生を地上のゴタゴタと関係無く過ごしてもらうためにな。現にこのダイクロフトには食料を作るためのプラントなどもあり、居住区なども充実した空間が整っている。そしてその中には大昔に預言に死を詠まれていた人々の子孫であったり、ここ二十年か三十年内で死ぬとされていた者達も住んでいるぞ』
「え・・・そんなこともしてたっていうのか・・・?」
『とはいっても半分以上はここに住むようになった人々がしてきたことだがな、そう言った人々の救助は・・・やはり預言に見捨てられたと言うのが大きかったのか、そう言った影の努力は怠ってはいなかったようだ。更に言うならそうやって助かった人々がまたこのダイクロフトの住民となっていったことにより、一層預言達成の為の犠牲を少しでも少なくとの意識が強くなる一因でもあったな』
「そう、なのか・・・」
それでも聞くべき事を聞くためにダイクロフトを造った理由について聞くと、ニアタから語られる人々の救済の為の場としての役目と実際に助かった人々がいるとの言葉達にルークは何とも言えない粟立ちを感じながら声を上げる。







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