焔も想像しなかった行動達

「・・・あっ、でもじゃあ住民の人達はどこに行ったんですか?デオ峠に来てる人はそうだっていうのは分かったんですけど、他の人達がどこに行ったのかは聞いてないし何処に行ったのか気になるんですけど・・・」
そこでルークはふと、前から思ってたことを併せて住民の行方を問う。結局どこに住民を避難させるか、それを誰からも聞いていない為に。
「・・・それに関してはアクゼリュスの件が一段落したらこちらが君達を案内するようにするから、それまで待っていてくれ。俺もこの事に関してはどう言えばいいのか分からないし、実際に見てみた方が早いからね」
「・・・そうですか」
だがジョニーからも申し訳なさそうに苦笑しつつまだ言えないと言われ、ルークはどうとも言えず頷く以外に出来なかった。
「・・・まぁ納得出来ない気持ちは分からないでもないさ。君にとっても重要な事だからな。ただこれについては本当に行かなきゃ理解出来ないことなんだ」
「・・・行かなきゃってそれってどういうって言っても、信じられないからそう言ってるんですよね・・・」
「そう言うことだ・・・君もその事については気になるだろうが、少し話を変えよう。多少余裕があるとは言え、あまり長話をしていては彼らを待たせかねないからね」
「・・・はい、分かりました」
ジョニーもそう言う気持ちを理解していると言いつつもまだ話せないから別の話題にと切り出し、ルークは何とも言えない気持ちを味わいながら仕方なさそうに頷く。
「じゃあ次の話題に行くが、現在アクゼリュスには謡将を騙す為に何人か障気により体調を崩していると言った人々が所々にいるがその人達はあくまで体調が悪いフリをしているだけだから気にしないでくれていい。それで君達がセフィロトへ繋がる坑道に入ったらすぐに撤退する手筈になっているから、そこは安心してくれていい」
「はい、分かりました」
「よし・・・それで次だが一つ聞きたい。君は謡将と相対した時、戦うつもりでいるか?」
「え?どうしてそんなことを?」
ジョニーもその返答を聞いた上で話を進めるのだが、ヴァンと戦うかと聞かれてルークはいきなりの理由の見えない問いに首を傾げる。
「いや、今の君は彼らの前じゃ演技をしているわけだろう。それがいきなり謡将の事を疑っていたから本気を出して戦ったでは、あちらにいる彼らを納得させられないだろうと思ったんだが」
「・・・そこについては説得は難しいとは思いますけど、あそこで変に手をこまねいてたら一緒にいるイオンがまずいことになる可能性もあります。だからそうさせてしまわないためにも、俺は戦います」
「いや、君はそうしなくてもいい。一応その場にはアドリビトムのメンバーがすぐに来れるようにと準備が進めてあるんでね」
「・・・へ?」
・・・ルークの真剣でいて迷いのない宣言と表情、それがジョニーの笑みと共に放たれた言葉で一気に崩れた。いざとればどうなろうともと決めていた決心が予想外のアドリビトムメンバーが来るとの言葉に。
「意味がわからない、って表情だな。でもアドリビトムの皆もセフィロトのパッセージリングでの事は聞いていて、それで是が非でも止めたいと対策を講じているのさ」
「えっと・・・いや、一応ローレライから俺の暗示は取ったって連絡が来たから操られる心配はないんだけど・・・」
「そうなのかい?・・・まぁいいじゃないか、それは些細な事さ。彼らの狙いはまた別にあるからね」
「皆の、狙い?」
「簡単に言うと君が本当の姿を彼らの前で晒さないようにって心遣いさ。今言ったような状況で謡将と君が戦うってなったら彼らを納得させるのも一苦労だと思って、暗示を発動させないと同時にそう言った気苦労もさせないようにってことでね」
「そう、なんですか・・・」
ジョニーはその表情について触れつつ説明をする、アドリビトムの面々がいかに気を遣ってルークの為に動こうとしてるのかを。ルークもその話を聞いて最初こそは自分一人でもやれる状況だと言いかけたが、あまりにもその思いやりがすごいものであった為に反論など出来ずに噛みしめるように声を漏らす。








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