焔も想像しなかった行動達

・・・ここでティアが見た光景より時間は少し遡り、デオ峠に場面は移る。






「・・・さて、ここらでいいか」
「・・・誰なんですか、貴方は?俺にだけしか見えないように『俺はアドリビトムの協力者だ、付いてきてくれ』って書かれた紙を見せられたけど、俺の知ってる人じゃありませんよね・・・?」
・・・それはルークが兵士の要望通り、ティア達のいる場を離れた後の事。
誰も周りにいない峠の片隅の場に来て振り返り口調を崩す兵士に、ルークは素直に付いてきた訳を述べつつ誰かと問う。するとその兵士は兜を取る。
「・・・紹介が遅れたな。俺の名はジョニー=シデン、今君が言ったようにアドリビトムの協力者さ」
「シデン?シデンって確か・・・」
「おっと、そいつはここじゃいいっこなしにしようぜ。今更だろう、そんなことは?」
「・・・分かりました、そうします」
そこに現れた顔はジョニーという金髪で端正なルックスの男なのだが、ルークはシデンの名の方に引っ掛かりを覚える。しかしすぐさまジョニーに笑みを持って指を振りながら立てられたことにルークは首を仕方なく縦に振る。下手な追及はここでは意味の無いことだったり、ジョニーがそれを望んでないことを感じた為に。
「・・・それで、どうしたんですか?俺をここに呼んで・・・」
「その事についてだがまず君に伝えなきゃならない事がある・・・アクゼリュスの人達は既に全員救助済みだから、安心していい」
「え・・・それって本当なんですか?・・・でもそうなら、ここにいる人達はどうして・・・?」
だからこそ場を抜け出た事もあって話を進めようと本題に入るルークだが、ジョニーが発したまさかの言葉に驚きを浮かべつつ疑問をぶつける。救助されたならこの場に人がいる理由にならないと。
「・・・その理由に関して言うなら君以外の人の目を眩ませる為にいてもらってるのさ」
「俺、以外・・・?」
「君も覚えてるんじゃないのか?・・・前にアクゼリュスに来た時、キムラスカから派遣された兵士は全員殺されていたという事実を」
「っ!・・・はい、それは・・・」
ジョニーはそこで笑みを消し真っ直ぐな目で質問に答えるのだが、その中身にルークは苦い顔を浮かべ下を向く・・・ルークは後で聞いた話だが、ヴァンと共に派遣された兵士達は少し離れた場でヴァンに皆殺しにされたという事実が前にあったのだ。
「俺達としてもそんな事をむざむざとさせるわけにはいかないと思ってね・・・そこで謡将が兵士に手を出させないようにするにはどうしたらいいのかと考えていった時、謡将が兵士達を殺せた理由というのが人の目のないところに誘い込めた事が大きいと結論付いたんだ。謡将からすれば何も知らない兵士達は勝手に動かれたら邪魔でしかないが、それがアクゼリュスの住民の目に入っていたなら回り回ってルーク君達にそれが伝わりかねない。だから人の目を避けて殺したのではとね・・・だからそう言った事態を避ける為にアクゼリュスから人々がポロポロとデオ峠に来てるといった風にして人の目があると謡将に認識してもらい、そうそう兵士達を殺しにくい状況にしてな。ただ一応の念のために俺達も何人か混ざって様子を見ながらやってはいたよ。謡将がどのように行動するか警戒するに越したことはなかったからね」
「そうなんですか・・・じゃあ兵士の人達は無事なんですね・・・?」
「あぁ、それは問題ないさ」
「良かった・・・」
・・・その事実を自分達も知ったからこそ対処をした。
ジョニーはいかな思惑を持って彼らを守ったのかを語りルークは成功したかを聞き、その返答に是と笑顔を浮かべた姿にホッと表情を綻ばせた。










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