終わりの始まりは変革に染まる始まり

・・・そのティアの危惧はすぐに証明された・・・周りにアクゼリュスの住民がいてその人々を警護するようキムラスカ兵が所々にいるため、魔物と特に戦うようなこともなく余裕を持って進んでいくルーク達は・・・デオ峠の出口にまで来ても、リグレットからの襲撃を受けなかったのだ。



(・・・教官がデオ峠に来なかったのは周りをキムラスカの兵が囲んでいるから、下手に動くと危険に陥るって判断したからだと思うけれど・・・本当になんでこんなことに・・・!)
それで平野部を歩きながらティアはそのあってはならないと思っていた変化が実現した理由をリグレット視点で推測した上で、苛立たしいと気持ちを昂らせていた。
(こうなったらアッシュに期待するしかないわ・・・今の彼はルークへの嫌悪感しかないから、これからの流れで必ずレプリカの事実を言ってくれるはずよ・・・そして私がどんな手段を持ってしてでもルークが超振動を使うまでに間に合えば、それでカタがつくはず・・・!)
そして最後の希望とばかりにアッシュへの想いを浮かべ意気を新たにするのだが、ティアは忘れていた。リグレットが以前にデオ峠で顔を見せたのはルークの事実を匂わせる為ではなく、自分にアクゼリュスから離れるよう教官として生徒を想う情にヴァンの妹という立場があったから助けの手を差し出す為に来たのだと言うこと・・・だがティアはその事に気付けないし気付かない。ヴァンにリグレット達を救えないと考えルーク達だけを唯一無二の仲間と考えているからこそ、自分の都合に悪いことは悪いこととだけしか認識しない・・・リグレットがそう言った行動を取ることは、ティアにそのようなことをしたいと思うような気持ちがないことの裏付けになる可能性も有り得ると言うのに・・・















・・・そんな風にティアが考えている内に、一同はアクゼリュスへと辿り着いた。



(着いたわね・・・デオ峠に住民が移動してるから流石に前より人の数は減ってはいるけど、やっぱりまだ倒れてる人はいるようね・・・)
街の入口で辺りを見渡しながらティアは様子を確認する。人の少なさと倒れてる人はまだいることを。
「・・・なぁ、師匠はどこなんだ?それにあの兵士の話だとまだ他に兵がいるはずだろ?」
「・・・確かにそうですね。謡将だけでしたらまだどこかにいるで済ませられるでしょうが、他の兵士の姿もないというのはおかしい・・・」
「どこにいったんでしょうね・・・ルーク様ぁ、大佐ぁ・・・」
(・・・言われてみればそうね。兵士の姿がどこにもないのはおかしいわ・・・あれだけデオ峠に人がいたのだから、アクゼリュスの中にも兵士はいて普通のはずなのに・・・)
そんな中でルークが辺りを見渡しながら呟いた声にジェイドとアニスもおかしいと眉を寄せ、ティアも内心でどういうことかと考える。肝心のアクゼリュス内部に兵の姿がないことに。
「・・・チッ、面倒だけど街の中を探すぞ。どういうことか師匠に聞かねぇといけねぇし、俺としては先に師匠に会っときてぇしな!」
「・・・そうですね。後者はともかくとしても、前者に関しては謡将を探した方が手っ取り早いでしょうから私も賛成です」
「ではヴァンを探しましょう!」
(仕方無いわね・・・どうせ兄さんの事をどうにかしなければ救助活動もままならないでしょうから先に兄さんの方に向かった方がいいでしょうし・・・)
ルークはそこからヴァンを探しに行こうと意気揚々と発案しジェイドとナタリアも賛同し、ティアも内心仕方なさそうにしながらその後に付いていく。









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