終わりの始まりは変革に染まる始まり

・・・だがティアがそのように思おうとも、イオンの体調が悪いことに変わりはない。故にイオンの為にも反対をする事が出来ず、ティアはかなり困惑しながらルーク達と共に休憩をする事になった。



(さて、と・・・前と違って変な空気に俺がする事もないし、ゆっくり休憩・・・)
「ルーク、聞きたいことがあるのだけれど」
「っ・・・なんだよ?」
ルークも適当な場に座り考えることに集中しようとしていたが、ふと自分の前に来て有無を言わさない声色で話しかけてくるティアに仕方ないと立ち上がる。
「貴方は兄さんの事を慕っているのは見ていて分かるのだけれど、貴方の中には早く兄さんの方に行きたいという気持ちはないのかしら?」
「は?いきなり何言ってんだよ?」
「いいから答えて」
「んだよ・・・俺だって師匠の所に行けるなら行きてぇけど、あいつらが言ってただろ。少しなら休憩したって問題ねぇって。それにどうせイオンが体調崩してんだし、無理したってすぐ休憩しなきゃなんねぇ事になりそうだし我慢する事にしたんだよ」
「っ・・・そう・・・」
「・・・んだよ、一体・・・(なんなんだ、マジでこのティアは・・・?)」
それで対峙する形でティアが早く行きたくないのかと問うが、答えることを強く求める姿にルークは渋々嫌そうに振る舞い答える。ティアはその返答にただ一言残し場を移動していき、ルークは本気でその意味の分からない行動に理解が出来ずにその後ろ姿を見詰める。



(ルークはルーク、よね・・・あの姿を見る限りでは。ならやはりこうなるに至った理由は他にいるの・・・こんな変化をもたらしたのは・・・?)
一方ティアは適当な場に立った後でルークに対しての見方を未だわがままな人物と考える傍ら、誰か第三者の存在を疑っていた。あまりにも昔と変わりすぎた今を作った原因は他にあるのではと。



「・・・よろしいですか、ルーク様?」
「あ?んだよ、まだいたのかお前」
それで一人座るルークの前に現れたのはパイロープの前に一同を案内した兵士で、ルークは立ち上がる事なく首を上にして見上げるように答える。
「・・・少し私についてきてください。報告しなければならないことがございます」
「あ?・・・っ、分かった。オラ、お前はここにいろ。付いてくんなよ」
「ミュウ・・・分かったですの・・・」
兵士はそのままルークに来るように言い、ルークは最初は不機嫌そうに振る舞う物の少し体を振るわせた後に立ち上がりミュウに待機を命じて兵士の後ろへ付いていく。寂しそうに声を上げるミュウの声を受けながら。












・・・それで休憩も十分とイオンが言い出した頃にルークもその場に戻り、アクゼリュスへ再び出発と一同は足を運ぶ。
「・・・なぁルーク、あの兵士になんて言われたんだ?」
「・・・あんまここにいる奴らの不安を煽らないでくれって言われたから声をでかく出来ねぇけど、神託の盾が姿を見せたらしいんだよ。んで時間稼ぎするから休憩終わったらすぐにアクゼリュスに向かってほしいってな」
「神託の盾が、ですか・・・それは厄介ですね」
「もしもの場合を考えて増援を呼ぶ手筈は取ってあるし抵抗もするって言ってたからまぁ心配はねぇだろ。それよっかとっとと行こうぜ、アクゼリュスはここ越えりゃすぐなんだろ?」
「えぇ、そうなります」
すぐにガイが歩きながら話をしてきてルークは言葉通り小声で話し、ジェイドもそれに倣い小声で話していく。一応対策は取ってるようだと返しつつルークは話題を変えて、ジェイドもその話題に頷く。ただその話に女性陣にイオンは声が届いていたのか難しそうに表情を歪めていた。
(まさかこの流れって・・・教官が来ないことも有り得る・・・!?)
特にティアはリグレットが来ない可能性について唖然としていた、レプリカの事を印象付ける貴重な機会が失われかねない可能性が高いことに。






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