終わりの始まりは変革に染まる始まり

「・・・仕方無いか、これからの事について考えよう。ローレライももう通信はしてこないっていうし、暗示がきかないならまた別のやり方を考えないとな・・・ナタリアの事もだしイオンの事もあるし・・・うまくいかせるようにしないと・・・!」
ルークは一人残った中で頭をかきつつ、表情を固める。決意に満たした形で。



(ルークは不機嫌そうな表情をしてミュウを部屋から出したと言ってたけど、前の通りならデオ峠でイオン様に暴言を言うでしょうね・・・でも私は何も言わないわ。ルークの為にならないし)
一方甲板にいたティアはガイがミュウと一緒にいる光景を前に考えていた。以前のルークの孤立化を招いた発言を止めないと見捨てるような事を。
(あれはルークが自分が愚かだと自覚するためには必要なこと・・・私があの発言をフォローなんて出来ないし、したくもない。それに最も重要なのはアクゼリュスで兄さんがルークを操ってパッセージリングを破壊するのを阻止すること・・・流石にルークもあの兄さんの事を知ったなら考えざるを改めざるを得ないでしょうしね)
そう考える理由は自分が嫌だとの極めて身勝手な物だが、アクゼリュスについては崩落を止めるべきと流石に考えた上でルークの心変わりが出来るとティアは考える。
(後はアクゼリュスに着くまでは今の調子のまま行けばいいわ・・・特に変わった事もないでしょうし・・・とりあえずは船が港に着くまでミュウと話でもしようかしら。こうやってゆっくりミュウと一緒にいれる時間はそうはないし)
そこまで考えて思考をミュウとの交流へと移しガイ達の方へと向かう。これで大丈夫だと考えた上で。












・・・ルークとティアの両者の考え方に差がある中、船はカイツールの軍港に着いた。それでまた以前のようにヴァン達が先にアクゼリュスに向かった事を聞かされた後、ルーク達は早速とデオ峠へと向かった。キムラスカ側からはデオ峠を使用しなければアクゼリュスへは行けないために。






「「っ・・・!」」
・・・それで然程苦労することもなく辿り着いたデオ峠なのだが、その入口でルークとティアの二人は揃って息を静かに呑んだ。
((なんで今ここにアクゼリュスの人達が・・・!?))
二人がそうなった理由とはデオ峠のそこかしこにアクゼリュスの住民らしき人々が疲れたように地面に座る姿があったからである。本来ならこんなことは以前にはなかった為に。
「・・・失礼します、貴方様がルーク様でしょうか?」
「っ・・・そうだけど、なんだよお前?」
そこに前方から現れたキムラスカ軍の服をまとった兵士が丁寧に確認の声を向けてきた為、ルークは気を取り直し何かと問う。
「少々お伝えしなければならないことがありますのでここでお待ちしていました。その中身としてまず我々先遣隊はアクゼリュスに着いており、ただいま救助活動を行っております。こちらの人々は体調がまだ良かった者達で先に避難をしてもらった方々ですが、まだアクゼリュスにはこちらの方々より体調を崩された者達がいます。私を含めた一部の者はこちらの方々の護衛という形でここにいますが、他の者に謡将は現在アクゼリュスにおります・・・そこでなのですがルーク様、まずこちらにいるアクゼリュスの代表者の方と会ってはいただけないでしょうか?その方は本来ならアクゼリュスで救助の成功を見届けたいと残ることを希望されたのですが、障気の事を考えるといつ体調を崩されるかわかりません。ですのでこちらに来ていただいたのですが、まずその方と会っていただきたいのです。このような事例の時には代表と代表が顔を合わせるのが普通ですので」
「顔ねぇ・・・まずアクゼリュスに急ぐのが大事なんじゃねーのか、この場合?」
「我々先遣隊の活動によりある程度の余裕はございます。顔合わせに少しの休憩程度でしたら問題はないかと」
「・・・しゃあねーな。んじゃとっとと案内しろよ、その代表のとこによ」
「はっ、かしこまりました」
その声に兵士はつらつらと今のこの状況を説明した上で代表者への挨拶が必要と言い、ルークはそれでいいのかと問うが迷いを見せない様子にそうすると了承して早速案内の為に歩き出す兵士の後に付いていく。
((なんでこんなことに・・・?))
そんなやり取りにルークもティアも何故と心中で改めて思う。予想外のこの状況に。








17/22ページ
スキ