終わりの始まりは変革に染まる始まり

(つーかここまで来てしまった以上ナタリアは引く気はないよな。城を抜け出してまでここに来たんだし・・・でも一応ちゃんと説得はしないと不自然だしな、俺がナタリアを手放しで歓迎するのはおかしいし・・・)
対してナタリアと話をしているルークはうなだれつつも、話をしようと決める。半ば説得は無駄だろうという気持ちも浮かべつつ。
「・・・おい、ちょっとどっか話し合いの出来る場所に行くぞ」
「あら、何故ですか?」
「何故も何もねーっつーの・・・とりあえず行くぞ」
「・・・まぁしょうがないでしょうね。では適当に宿にでも移動して部屋を使わせていただきましょうか、流石にこの状況では時間が必要でしょうし」
そして話をと切り出すルークだがその意味が分からず首を傾げるナタリアに、ジェイドも仕方なさそうに頷く。









・・・それでキムラスカ側の宿に移動し、ルークはナタリアに二人になってバチカルに帰るようにと説得を始めた。しかしナタリアの気性と考え的にルークの言葉など聞くこともなく、話は平行線を辿るだけであった。「私が和平の為に動かなくてどうしますか!」、「お父様も後になれば分かってくださいます!」、「私も弓の腕には自信があります!」・・・こういった自分の考えと腕っぷしに自信を持ったナタリアの似たような言葉のローテーションにより。



「・・・話は終わったか、ルーク?」
「・・・全然だっつーの・・・全くこいつ俺の話を聞きゃしねぇし・・・」
そんなやり取りを続けていた中でガイが部屋に入室して声をかけてきて、ルークは疲れを見せうなだれながら首を横に振る。
「ガイ!貴方も言ってくださいまし!ルークに私を連れていくように!」
「・・・あ~、その事についてなんですがちょっと旦那達もこの部屋に入ってもらいますよ。こっちはこっちでまた別に問題が発生したんで・・・」
「・・・問題?(もしかして、イオンが自分も行きたいみたいに言い出したのか?前もケセドニアでそう言い出したし・・・)」
ナタリアは勢いの衰えぬ様子ですぐにガイに賛同しろと命令するが、複雑そうにジェイド達を呼ぶと話をずらす姿に頭を上げ眉間にシワを寄せながらもルークはその理由をイオンだと見当づかせる。
「・・・失礼します」
「・・・んだよ、何の用だ?」
「そちらもナタリア様の説得が難航しているようですが・・・こちらでもイオン様がアクゼリュスに付いていくと言い出されたのですよ」
「はっ?なんでなんだよ・・・(やっぱり、か・・・)」
そしてジェイド達がぞろぞろと入室し、難色を示しながらイオンの事を切り出す姿に内心やはりとルークは思う。
「すみません、ルーク・・・ですが僕は和平の仲介を頼まれた身として、アクゼリュスに向かう義務があると思うんです」
「・・・と言うわけです。この通りイオン様は譲られるおつもりがないので、こちらも困っていたのですよ」
「・・・んだよ、そっちもかよ・・・ったく、なんでこんなことになんだか・・・」
「ナタリア様に加え、イオンもだからな・・・正直俺達も困ってるんだよ」
済まなそうに頭を下げるイオンに、ルーク達男性陣が困った声を上げる。
「・・・連れていったらどうかしら、二人とも」
「っ・・・はっ?いきなり何を言い出すんだよ、お前・・・?」
そんな中、ティアから上がったまさかの声に心底から疑問の声を上げた。ティアが賛同するとはルークは思っていなかった為に。



(ここで下手にナタリアにイオン様のどちらかでも離されるような事になったらまずいわ・・・ここは私がどうにか二人を連れていくように誘導しないと・・・)
そのティアの内心は自分らしくない事など忘却の彼方に置きながら、考えていた。二人を連れていくことは必須事項なのだと。






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