終わりの始まりは変革に染まる始まり

「つーかお前らはなんでここにいんだよ?」
「僕達はここまで歩いてきてしばらく休憩してただけなんだけど、どうしたんだい?そっちは」
「別にそっちに関係ねー事だっつーの。ちょっと用事があってここに来ただけだし(う~ん、この理由だと別にすごく拒否しなきゃならないわけも特にないし・・・ここからどうすんだろう、クレス達は・・・?)」
今度は逆に質問をし返しクレスが当たり障りのない答えを返す様子に、ルークは大して興味を見せずに対応しながら内心これからのアドリビトムの面々のことについてどうなのかと考える。
「クレスさん、そろそろ行きませんか?休憩も十分だと思うんですが・・・」
「あぁ、そうだね・・・じゃあ僕達は出発するからあまり無理をせず休憩してから行くことを勧めるよ。ここまで来て色々と疲れてるだろうしね」
「お~、んじゃな(・・・なんかついつい一緒に行くみたいに考えてたけど、そうじゃなかったんだな・・・)」
と、ヒューバートからの言葉にクレスも頷き注意を残した後にアドリビトムの面々が去っていった。ルークはその姿を見送るが、皆がナチュラルに同行すると思い込んでた事に少し恥ずかしさを感じていた。
「・・・まぁ折角休憩の勧めもいただいたことですし、我々も少し休憩していきましょう。砂漠はまだ続きますし、下手に途中で倒れて水場が都合よく近くにあるといった偶然になど期待は出来ませんしね。体調は万全に越した事はありません」
「・・・そうすっか」
自然と見送りの形を終えた後にジェイドが休憩を切り出し、ルークも賛成する。






・・・それからしばらくしたら水場の前に集まることで、ルーク達は一旦解散となった。



(どうしたものかしら・・・本当にこのままではルークとアッシュが全く顔を合わせることもなくアクゼリュスにまで行ってしまうわ・・・!)
その中で一人建物の裏に行き背を壁に預けながら厳めしく眉間にシワを寄せていたティアは考える。やはりルークとアッシュは今のうちに顔を合わせるべきだと。
「ティアっ・・・!」
「えっ・・・っ、イオン様!」
そんな時に唐突に耳に届いた自身の名を苦しげに呼ぶ声に前を向くと、イオンが男性二人に担がれて連れていかれる光景が目に入った。その姿にティアは驚き手を出そうとするが、その二人の逃走速度はイオンを担いでいるというのにその手より早く空を切ることになりみるみるとティアとの距離を空けていく。
(譜歌を・・・っ、ちょっと待って・・・これはチャンスじゃないの?ルークとアッシュの顔合わせをする・・・多分間違いなくあの二人は兄さんに教官達の手の者でしょうし・・・)
ティアは次に譜歌を歌おうと考え・・・即座に考え直した。チャンスと普通では有り得ない考えに。
(だとしたらここは彼らを見逃した方がいいわね・・・彼らの目的はイオン様にダアト式封呪の扉を開けてもらうことで、イオン様に危害を及ぼす事はないでしょうからこの機を利用させてもらうわ・・・二人の初対面の場に・・・!)
そしてニヤリと傍目には悪い印象しか持てない笑みを浮かべ、その場を後にする。ルーク達を集め、早くザオ遺跡に行くために・・・






「はぁっ!?イオンがさらわれたってのか!?」
「・・・アニス、貴女はどうしていたのですか?」
「・・・私はちょっと水を飲もうと思って少しイオン様と離れたんですけど、その時にイオン様が捕まってて・・・」
「それでティアがそいつらが逃げていくのを見た、と・・・」
「えぇ、そうよ・・・」
それで一同が集まり状況の確認をするのだが、ティアは不覚といった顔を浮かべていた。わざと逃した事をおくびにも出さず・・・










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